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 実際、渋谷のスポーツバーの多くは事前予約制であったり、入店にあたってチケットが必要なケースが多く、行列に並ぶものの、直前に店員からシステムを説明され入店を諦めている光景が目立った。

 スポーツバー勤務の男性に尋ねると「ウチは3000円の飲み放題でやっていて、バーにしてはかなりお得な店だと思うんですけど、ドイツ戦はそんなにでした。でも、今回は盛り上がりが桁違いですね。時間帯の問題もあると思うんですけど、今回は前に比べたら10倍くらいのお客さんが来ています」とのこと。

路上喫煙しながらセンター街を歩く代表サポーターも

 やはり、ドイツ戦の劇的勝利によって、ファンの注目度も大きく高まっていることは間違いないようだ。

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 しかし、そんなスポーツバーの中にもサッカーに興味のない人はいる。筆者が入店した店舗では「私サッカーわかんない、ゴールくらいしか」と友人と笑いあいながら、グラスを傾ける二人組が楽しそうに、時間を過ごしていた。

 「え、どうする? ヤバくない?」

 選手入場になると、店内の客が手を叩きながら声を上げ、指笛を重ね合う。国歌を歌い、試合中は各々に声を上げる。

「森保がんばれ!」「(サポーターのコスプレを見て)アーニャが居る!」など、試合内容とは直接関係のない大声があがりながらも、試合展開を注視し、チャンスがあるや一体となって盛り上がっていた。

サムライブルーカラーにライティングされたスポーツバー 写真=読者提供

 しかし、その盛り上がりも試合が後半にさしかかり、試合終了が近づくにつれて右肩下がりに……。

 終盤、最も大きな声があがったのは、コスタリカ相手に失点した瞬間だ。そこからは、嘆息と呪詛を入り混じらせながら、これからの予定について話し合う人がほとんどだった。チャンスのシーンでは盛り上がるものの、それ以外では「え、どうする? ヤバくない? スクランブル交差点いけないよね、これじゃ?」といった会話が、そこかしこで行われていたのだ。