世界業界第2位の仮想通貨取引所だったFTXの経営破綻が、暗号資産業界への信頼を大きく揺るがしている。そんななか、日本国内では、さらに不信感が高まりそうな事実が明らかになった。国内大手の取引所を運営する企業のトップが、海外の警察当局から指名手配中であることが判明したのだ。

不正流出事件を端緒に、台湾で刑事事件へ発展

「俺たちのビッグボス ビットポイント~♪」

 耳に残る軽快なテーマソングとともに、北海道日本ハムファイターズ監督の新庄剛志氏が出演するのは、株式会社ビットポイントジャパン(以下BPジャパン)のテレビCMである。

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新庄剛志監督が出演するBPジャパンのCM(YouTubeより)

 しかし、同社には消せない過去がある。2019年7月には、顧客が保有する30億円超(当時のレート)の仮想通貨が不正流出する不祥事を起こしているのだ。ただ、この不正流出に対しては、被害を受けた顧客に対する全額補償の方針を早々と打ち出し、一定の解決を見た。とはいえ、それは日本国内に限った話である。

 BPジャパンが、仮想通貨取引所としてサービスを提供していた台湾では、この不正流出事件を端緒に刑事事件へと発展し、当時の同社社長、小田玄紀氏が指名手配されているのだ。

指名手配書には、容疑として「詐欺等」と記されて

 筆者が入手した、地方裁判所に相当する台湾台北地方法院が今年4月22日に発行した指名手配書には、小田氏の名前や生年月日とともに、容疑として「詐欺等」と記されている。

暗号資産の流出を受け、記者会見するビットポイントジャパンの小田玄紀社長(当時) ©時事通信社

 1980年生まれの小田氏は、東大法学部在学中に興した事業を売却して得た資金を元手に、その後はベンチャーキャピタリストとして活動。2011年からは、経営不振に陥っていた株式会社リミックスポイント(以下リミックス社)の経営に参画するとその手腕が認められ、現在は東証スタンダード市場に上場する同社の代表取締役社長CEOを務めている。

 また、リミックス社がのちにBPジャパンとなる株式会社ビットポイントを2016年に設立すると、その代表取締役社長に就任している(現在は取締役会長)。