清算表に反映されていない5億3000万円が行方不明
ところが、被害の全容把握のために、BP台湾側が顧客の過去の取引データを調査したところ、その何倍もの金額がどこかに消えていることが判明したという。
「もっとも大きいのは送金の未反映です。弊社は業務開始以来、顧客の口座への入金分など、約41億2000万円相当をBPジャパンに送金しているのですが、両社間の資金のやり取りを記録した清算表には計35億9000万円しか反映されておらず、5億3000万円ほどが行方不明となっているのです。同様の矛盾は、両社の帳簿を比べた際に散見されます。
ほかにも、スプレッド(買値と売値の差)の計算が間違っていたり、一つの約定IDに複数の取引が存在していたりと、不審な点がいくつも見つかりました」(同前)
不正流出の被害を受けた顧客ら3名も刑事告訴
そこでBP台湾は、不正流出による顧客の被害額に加え、こうした不正や誤りによる損害額を合計した約10億2400万円の弁済をBPジャパン側に要求したという。しかし……。
「小田氏が当初、対応する姿勢を見せていた不正流出に対する補償も含め、BPジャパンはまったく弁済に応じませんでした。2019年8月に東京地裁に民事訴訟を提起し、現在も公判が続いています。
その一方で2020年には、不正流出の被害を受けた顧客ら3名ともに、小田氏個人を台湾の警察当局に刑事告訴しました。その後、警察の捜査の結果、嫌疑十分ということで、小田氏には逮捕状が出されました。ところが小田氏は台湾に不在であるため、4月までに指名手配となったようです」(同前)
筆者は、BPジャパンの親会社で、現在も小田氏が代表取締役CEOを務めるリミックス社に、小田氏が上場企業のトップとして適任なのか、見解を質した。しかし、期日までに回答は得られなかった。
これまで自著やインタビューで、「逃げない経営」を自身の信条として繰り返し語ってきた小田氏。ならば今、自らの法的責任からも、逃げずに向き合うべきではないだろうか。