編集部で「評判の悪い食材」は…
――編集部で「評判の悪い食材」はありますか
編集K やっぱり虫は苦手な人が多いですかね。校了時は編集部内でひととおりその号の原稿を読むのですが、虫が嫌いな編集は虫の回だと読んでくれない(笑)。
私はもともと営業だったんですが、桐谷さんは1巻が出たときから大好きな作品で、ずっと担当したいとアピールしていたんです。念願叶って担当できたのはそのかいあってということに加え、編集部で虫を食べられる人が誰もいなかったのも大きそうでした(笑)。
とはいえゴキブリは絶対無理なので、前の担当であるSさんが既に行ってくれていて、よかった……。
編集部として「これはNG」としている食材は今のところ基本的にありませんが、ただ常に「やばい」というコメントは飛んできます。編集長に食材の領収書を提出すると、いつも「やばい」と言いながら、ハンコを押してくれる。私が担当してからも、ヌタウナギやエミューの卵、カエルの産道、いろいろ買いましたね。
誰が漏らすのか問題
――2016年に連載がはじまり、はや6年。いろいろなものを食べまくり、体調面は問題ありませんか?
ぽんとごたんだ 実は僕、おなかが弱くて。でもジビエなんかは赤みの肉が多かったリして、脂が少なくむしろヘルシーです。だから、おなかを壊したりすることは、ほとんどありません。
でも、まだ未食ですがバラムツ(※美味だが食べるとお腹を下すといわれる大型魚)は、大変なことになるかも。消化できないワックス成分が多いのでおいしいけれど、消化器を通過して垂れ流しになってしまうという。
食べてはみたいのですが漫画にしたとき、誰が漏らす展開になるのか問題です。ヒロインである桐谷さんが漏らすわけにはいかないし。順番にトイレに行けばいいのか。体調面含め、悩ましいです。
それでも毎回「こんな食材があるんだ」という驚きがあるのは本当に楽しい。実際に見て食べて、味を確かめて驚く。新鮮な体験をさせてもらえてるっていうのは、すごくありがたいですね。この漫画では、食材を扱うとき「雑食」という言葉を使うことにもこだわっていきたいです。
食材をゲテモノとして扱って悪いイメージがつくような言葉じゃなく、興味があって食べてるんだというのが伝わるといいなと。単行本が14巻に入りましたが、未だに調理も食材の知識も素人目線でやっています。新鮮な驚きを持ち続けたまま、食材へのポジティブな姿勢、魅力を引き出せるように描いていきたいです。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。