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「出されたら食べる習性」が身についてしまった

新人編集T氏(以下、編集T) 僕は6月に担当になったばっかりで、取材はマッドハニーを食べる会にご一緒したくらい。何を食べるのか? 何があるのか? まだまだ想像もつかない世界です。この食材を食べられるか? と聞かれても、多分それすら判断できません(笑)。

ぽんとごたんだ そうした人たちと比べると、僕はもう「出されたら食べる習性」が身についてしまった。だから友達に食用コオロギやミルワームを出して「絶対無理!」みたいな反応をされると、「食べないなんて食材に失礼だろ!」「死にゃしないのに何言ってんだ!」とさえ思ってしまう。そういう考えは、よくないという自覚はあるんですが……。

 でも、時々そうした態度にしっぺ返しをくらいます。いろいろ食べて経験を積んで、調子に乗っていたんですよね。ウーパールーパーを食べに行ったときに、流れでタガメもいこうと。イケるイケる! と無策にガッと口にしたら、思った以上のダメージをくらってしまって。タガメはラフランスの香りが、衝撃だった。もっと謙虚にならなくては、と反省しています。

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――味以外で困ることは?

ぽんとごたんだ 食材の解体です。カエルとか蛇とか。料理されたものを食べるのはほとんど問題ありませんが、グロテスクなものが苦手なんです。ホラー映画も、グロテスクなヤツは観られない。

 でもクジラの解体なんかは、グロテスクを通り越して圧巻だった。スケールがデカすぎると、感動するということを知りました。解体は慣れもあるので、最近はちゃんと食材として見られるようになりましたけど。

 他に困ることといったら味の描写かな。スタッフみんなでリスを食べに行ったときですかね。「この味、何かに似てる」みたいな話になるじゃないですか。でも、喩える肉の味もまたジビエ。雑食を雑食で喩えるみたいな。

11巻57食目「山奥からの手紙」に収録。タイワンリスを食う!

編集K 経験を重ねることで、かえって読者には伝わりづらくなってしまう問題もありますね。でも珍獣屋のリス鍋、おいしかったですね。食感が軟骨みたいで。