これまで彼女が食べた食材はワニ、リス、キツネ、カラス、深海魚など――「食への好奇心」が強すぎる女子高生が主人公の異色のグルメ漫画『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』(双葉社「漫画アクション」で連載中)はいかにして生まれたのか?
連載開始から6年が経過した今、作者のぽんとごたんだ氏にインタビュー。この世のすべてを食い尽くさんとする「美少女JK・桐谷さん」のモデルは“意外な人物”だった。(全3回の1回目/#2、#3を読む)
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作品誕生のきっかけは「ワイルドな父」
――単行本のおまけ漫画や、巻末のあとがきにもいろいろな情報が詰め込まれていますね。そこに登場するぽんとごたんだ先生のお父さんの存在や、育った環境などがこの作品の原点かと思えたのですが、実際はどうでしょう?
ぽんとごたんだ 確かに父の影響で、僕自身変わった食材に対して抵抗はありませんね。父がわりと何でも食べる人で、自分で狩猟まではしないのですが、猟師の狩りに参加したり蛇を捕ったり。
実家の軒下にスズメバチが巣を作ったら、それも食べていました。このスズメバチが「ちょ、それ食うんすか」となった一番古い思い出かも。
父は定年退職した後、山のガイドに携わったり、チェーンソーで切り倒した樹をもとに薪を作ったりして、暮らしています。だから、すごく元気ですよ。僕は連載を始める前はカエルとスズメくらいしか食べたことがない雑食ビギナーだったので、ちょくちょく父にネタを提供してもらっていました。
初代担当編集のS氏(以下、編集S) 連載のきっかけは、漫画onWeb主催の漫画賞である「第7回ネーム大賞」へ投稿してくれたことなんですが、ごたんださんの作品を編集長に見せたとき「この人、変なもん食べるの好きだね」みたいなことを言ってたような記憶がうっすらありますね。
面白いネタだから描いているというより、変わった食材に興味を持っていることが伝わってきた。そして本人にお話を聞くと島根出身、お父さんがウサギを追いかけていたような環境だったという話で、なるほどなと納得しまして。
――主人公の桐谷さんには、モデルがいる?