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「ヒロインが漏らすわけにはいかない」リスもゴキブリも食べた“雑食グルメ漫画家”が語る「NG食材」のボーダーライン

ぽんとごたんだ先生インタビュー #3

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「僕はもう『出されたら食べる習性』が身についてしまった」。これまで食べた食材は、ワニ、リス、キツネ、カラス、深海魚など……食への好奇心が強すぎる女子高生が主人公の漫画『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』を連載する、ぽんとごたんだ氏インタビュー第3弾。

 最終回では「NG食材のボーダーライン」や「これからの意気込み」などを教えてもらった。(全3回の3回目/#1#2を読む)

連載期間6年を突破、14巻続く異色のグルメ漫画『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』 ©ぽんとごたんだ/双葉社

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「NG食材」のボーダーライン

――「なんでもアリ」という印象の雑食ライフが描かれていますが、NG食材はある?

担当編集K氏(以下、編集K) 愛玩動物かな。特に犬や猫はやめようねという話はしています。食材として作中に出てくる生き物の描写も、あまり可愛くなりすぎないように気を付けてもらったり。例えばハリネズミを食べる回とか。

ぽんとごたんだ 漫画にするときは、その食材をどう扱えば面白くなるかにチューニングするんですが、うっかりかわいくなってしまう場合もありますけどね。

 カメの回を描いたときは、当時担当だったSさんが読んでちょっと悲しい気持になったと聞いて、「あー、かわいく描いちゃっていたかな~」なんて。ペットとしての姿を、強く思い浮かべてしまう人もいるので難しいところです。

――かわいいものがおいしく見える、とかはあるんでしょうか。

初代担当編集のS氏(以下、編集S) かわいいかどうかは人それぞれでしょうけど、最近ではそのへんのハトも普通に食材に見えてきました。水族館へ行っても、あれは食べた、コレはまだだ……みたいな。

 仕事で沖縄へ行ったときは、街で野生のフルーツコウモリを見つけたんですよ。ウワサでおいしいと聞いていたんで「コウモリいましたよ!」と、ごたんださんに写真を送ったり。かわいいと思う以前に、身のまわりのものが食材に見えてしまう。

ぽんとごたんだ氏(写真:ムシモアゼルギリコ)

ぽんとごたんだ フルーツコウモリは、話を聞いたときからずっと食べたいって思ってて。結局まだ、食べられてませんが(※日本では鳥獣保護法で捕獲は禁止されている。駆除の場合は各自治体に届出を出して許可を得てから、捕獲して処分する)。

 あとはアルマジロとかも食べてみたいし、シマウマも気になっています。アフリカでしたっけ? 缶詰があるという話です。日常的に「アルマジロ食べてみたい」と、「寿司食いたい」くらいのノリで話しています。

編集K みんながこんな有り様なので新鮮な反応も欲しくって、研修中の新入社員を取材に連れていったこともありました。ウミガメとキョンを食べる取材に同行してもらおうと思っていたんですが、ごたんださんが「ちょっと待ってください。確認したほうがいい」と電話で言い出して。

ぽんとごたんだ いやなものを無理やり食べさせる、パワハラみたいになっちゃわないかなと。

編集K 私たちにとってはご褒美ご飯の範疇だから、よかれと思ってたけど、言われてみたら確かに。ごたんださんの言葉で初心に帰り、これはいけないと慌てて食べられるかどうかを確認しました。