「断りもなく、知らない人を連れてくる無神経さが私は大嫌いなのです」
作家・林真理子さんが激怒した、その場にいる資格のない「社交界のタブーな人たち」とはいったい? 大ベストセラー『野心のすすめ』から9年ぶりとなる話題の新書『成熟スイッチ』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/#2を読む)
◆◆◆
その場にいる資格があるか
私も人にご馳走する機会が少なくない方ですが、秋元康さんにはその数十倍ぐらいご馳走になったりお世話になっています。お返しする術がなくて、本当に困ってしまうほど……。
ふるまいが素敵なお金持ちは多いですが、秋元さんはその筆頭です。お店の隅の方でみんなの話をニコニコしながら聞いていて、たまにとても面白いことを言う。「オレがご馳走してやってるんだ!」という押し付けがましさが微塵もなく、自慢話も一切しない。
若い人をいつも中に入れて、若い人の食欲を楽しんでいる感じ。「サラッとご馳走してくれる」というのでしょうか。ご馳走される側が負担に思わないよう、気を遣わせないようにしてくれる。どんなにお金があっても、秋元さんのようなふるまいはなかなか出来たもんじゃないと思います。
そんな居心地のよさの隙を突くように、かつて秋元さんの会食の場に自分の知り合いをぞろぞろと断りもなく連れてきた人がいました。別の時には、流れにまかせて勝手に京都の一流料理店のカウンター会食に友人を入れようとする人も。
「◯◯さんの友人がどうしても食べたいんだそうです」と聞いて、「誰だって食べたいでしょ!」と激怒してしまいました。──断りもなく、知らない人を連れてくる無神経さが私は大嫌いなのです。