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 次は、一発勝負になりますし、相手はグループリーグを勝ち抜いてきた強豪チーム。ただ、圧倒的に強いかというとそうじゃないかもしれない。だからこそ、逆に怖いですね。

 いいチームだし、うまさとパワーがある。でも、ドイツ戦、スペイン戦のようにずっと主導権を握られる展開にはならないでしょう。自分たちがボールを持てる時間もあると思います。

 ただ、コスタリカ戦では自分たちが主導権を握った時、ボールを支配したり、連動して攻撃したりするのが、あまりうまくいっていない感じでした。自分たちが主導権を握った時、どう崩していくのか。そこがクロアチア戦のキーポイントになると思います。

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――城さんは1998年フランスW杯の時にクロアチアと戦って敗れています。

 あの試合は、戦えなかったという印象はないんですよ。チャンスを決め切る決定力の差が出た。それを痛感しましたね。

 あの大会で得点王になったシュケルの決定力はすごかったし、大事なところで決め切る力は相手が上回っていました。今回もチャンスは絶対にあると思うので、そこで決め切れるか、連携で崩せるか、ですね。

遠藤航はクロアチア代表のモドリッチをどう抑えるか ©JMPA

クロアチア戦、キーパーソンになるのはどの選手か

――クロアチア戦でのキーパーソンは誰になりますか。

 クロアチアの中盤にはモドリッチという中心選手がいるので、そこをいかに自由にやらせないようにするのか。中盤をいかに制することができるのか、という面では遠藤(航)みたいな選手が非常に重要になってきます。

 あと、堂安ですね。2得点でノッている選手なので、何かをやってくれる可能性が高い。劇的に流れを変えるワンダーボーイ的な存在がいるチームは強いので、堂安がそういう存在になる可能性が高いですね。

――現チームに懸念材料は何かありますか。

 ひとつの方向に向かって、みんなで行こうという部分がまだ足りないと思います。攻撃の際、ここぞという時にみんなで行くとか、ここでみんなでやるぞというのが見えないんですよ。現状は個の力で打開しているので……。

 個のレベルが間違いなく上がっているので、ひとつにまとまれば、チームとしてもっと力を出せると思うんです。その役割を果たすのは、監督です。監督がチームの意識付け、位置付けをすることで、みんな同じベクトルを目指せるはず。そういう一体感というか、全員が同じベクトルを向いた力を出せば、クロアチアを破る可能性は十分にあると思います。

森保一監督は決勝トーナメントでどのような采配を振るうのか ©JMPA

――日本代表はクロアチアに勝って、新しい景色を見られるでしょうか。

城 ここからですよ、本当のワールドカップは。ドイツとスペインに勝ったことは歴史的なことですけど、目標はあくまでもベスト8。クロアチアは、ドイツ、スペインを破った日本に対して相当リスペクトしてくると思うので、そこは自信をもってぶつかってほしいですね。

 ただ、一発勝負なだけに、これまで以上に勝つのは難しくなります。今のところ、ベスト8に行ける確率は50%くらい。そんなに簡単じゃないよって思い知らされる試合にならないといいですけど。もちろん、理想はクロアチアに勝って、ベスト8で当たる可能性の高いブラジルと戦うこと。チーム的には勢いがあるので、そこまで突っ走ってほしいですね。

(取材・文=佐藤俊)

©JMPA

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