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YouTube、Twitter、Netflix…大手のビジネスモデルが完全崩壊 ネットが“お金を払って広告を見る時代”に突入するこれだけの理由「月9000円分ネットCMを見る若者も…」

genre : エンタメ, 社会

 YouTubeをつけるとCMが15秒間スキップできず、やっとスキップを押したと思ったら2本目が始まる。1日で最もイラっとする瞬間かもしれない。プレミアム登録をすればYouTubeの広告を避けられるが、最近ではNetflixが「広告付き月額790円プラン」を打ち出すなど、あらゆるところに広告が進出してきているようにさえ見える。

 しかし実は、今起きているのは実は真逆のことである。Twitterを買収したイーロン・マスクの苛烈なリストラやメタ、Amazon、Googleの人員規模縮小の動きはすべて『無料でどうぞ、でも代わりにCMを見てくださいね』という広告モデルの破綻から始まっている。

 私たちはこれからも広告を見せられ続けるのか、それとも月額の支払いが必要になるのか、それともお金を払った上で広告を見るという状況に追いやられるのだろうか……。

「広告を見る代わりに無料で楽しめる」時代は終わった

 インターネットサービスは広告を見る代わりに無料で楽しめるもの、という牧歌的な世界観は崩れた。その背景には、行動履歴を大量に蓄積して利用者の性質に合わせて最適な広告を出すという大手プラットフォームによるターゲティング広告の限界が2つの点で明らかになっている。

 1つめはターゲティングの精度が限り無く高まった結果、競合に勝る認知の獲得のためには結局従来のテレビCMのようなマスメディア広告との組み合わせが不可欠になったこと。ターゲティングを行うのはもう当たり前で、それだけでは広告の効果が十分に出なくなってしまっている。

 もう1つはユーザーの嗜好が細分化し、SNS上でもその好みに応じたコンテンツを積極的に表示するアルゴリズムの精度が上がった結果、コミュニティの分断が起こったことだ。ターゲティングを正確に行おうとすると、あらゆる広告クリエイティブの種類が求められる傾向が強まっている。

「映像研には手を出すな!」の大童澄瞳氏を起用した日清どん兵衛のCM。アニメ編だけで他にもモリタイシ氏、窪之内英策氏など幅広いテイストの3人が起用されている 公式サイトより

 結局、細分化されたターゲットに対して広告のバリエーションを際限なく準備するには莫大なコストが掛かるので、マスメディア型の広告を大量投下し認知度を上げる手法に回帰しつつある。YouTubeを無料で利用しようとすると頻繁に、さほど最適化されているとも思えない広告を「見せられる」のはそのためだ。