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判決でも発揮してほしかった気前の良さ
判決と会見の後、とある料理店で雅子さんを囲む“お疲れ様会”が催された。そこで生越弁護士は判決直後の出来事を明かした。
「私たちが判決文を受け取りに(大阪地裁の)書記官室を訪れたら、判決を終えた中尾さん(裁判長)たちがちょうど帰ってきたんですよ。あいさつするかな、と思ったら、目も合わさずそそくさと自室に入っちゃいました」
そこで筆者も裁判長の目撃談を披露した。
「ある昼過ぎ、中尾裁判長が若い一団を連れて裁判所から出てきたんですよ。後を追ったら近くのインド料理店に入ったんで、横のテーブルにつきました。そしたら話が聞こえてきて若い一行は司法修習生とわかりました。支払いになると、財布を出す修習生を押しとどめて裁判長が全部払っていました」
その気前の良さを判決でも発揮してほしかったものだ。最後に生越弁護士がとっておきのネタを繰り出した。
ドラマを超える雅子さんの劇的な人生がさらに続く
「実はこのお店、安倍さん(安倍晋三元首相)が来るはずだったんですよ」
雅子さんは思わず店主に、
「え~っ、そうなんですか?」
「はい、お客様がぜひ安倍さんをお連れしたいという話で。それで日程調整をしているさなかに銃撃事件が起きたんです」
安倍元首相が亡くなった銃撃事件の前日、雅子さんは、選挙遊説で神戸を訪れた安倍氏に手紙を手渡しグータッチをしている。それについてTBS『報道特集』の金平茂紀さんが語った言葉を雅子さんは思い出した。
「こうして雅子さんのドラマはできていくんだね」
ドラマを超える雅子さんの劇的な人生が、控訴によりさらに続くことになる。
写真=相澤冬樹