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 頭に虹色のアフロヘア―を乗せて一人歩く男性は、友人と二人で飲んでいたという。

サポーターもがっくり Ⓒ文藝春秋 撮影・細尾直人

「負けてしまったのがショック過ぎて友達を置いて帰ってきました。まだ始発は動かないけど、電車見ながら待つことにします……」

 サッカー部出身だという20代男性2人組は悔しさをにじませていた。

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「本当に悔しい。日本代表も互角に戦っていたと思うけど、モドリッチが本当に強かった。今日は休みなので、帰って家でやけ酒します」

敗北と冷たい雨

 試合が終わったのは午前3時。

 始発の電車が動き出すには2時間ほどまたなければならない。やるせない気持ちを抱えたファンたちは、行く先を探して渋谷も街を歩き回っていた。深夜営業の居酒屋に向かうファン、カラオケでうっぷんを晴らそうとするファン、街中でたむろして“感想戦”を続けているファン。ドイツやスペイン戦の時のような狂乱の姿はどこにもない。

雨のせいか、人出よりも警官の姿が目立った Ⓒ文藝春秋 撮影・細尾直人

 午前5時。ようやく始発電車が動き始めると、やがて、失望を漂わせて行く当てのないファンを渋谷の朝の光が優しく包んでいくのだった。