1968年10月23日、日本武道館で政府主催の「明治百年記念式典」が催された。以下はそのときの写真である。
中央円台に立つ佐藤栄作首相は、「天皇陛下万歳」ではなく「日本国万歳」を三唱した。そのため、金屏風を背にした昭和天皇と香淳皇后も、約9000名の参列者と一緒に万歳している。天皇が絶対的な存在だった、戦前の式典ではありえなかった光景だ。
「日本国万歳」ではなく「天皇陛下万歳」の声が
ただ参列者のなかには、この万歳に不満を持つものもいたらしい。式典の最後、天皇・皇后が退出するときに、二階正面とおぼしき参列者席の一隅から「天皇陛下万歳」の声が沸き起こったのである。
総理府(現・内閣府)が発行する『時の動き』によれば、参列者全員がこの万歳に和し、「両陛下はにこやかにおこたえになった」という。
こう聞くと、既視感に襲われるひともいるだろう。2013年4月28日にやはり政府主催で開かれた「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」においても、今上天皇と皇后が退出するさい、参列者の一部が「天皇陛下万歳」と叫び、安倍晋三首相をはじめとするほかの参列者がつられて万歳したことがあったからだ。
今年の明治150年でも同じようなことは起こるのだろうか。50年前の「明治百年記念式典」から注目すべきポイントを取り出してみたい。