ピストジャム 大学卒業にあたり、もう親の言うことを聞かなくていいよな、と思った時の最優先事項が「自分のやりたいことをやりたい」で、それが芸人でした。ただ親に対する外堀を埋めるために、就活したけどダメだったという“実績”は用意して。
そのうえで、すでに就職が決まっていたこがけんを、僕が絶対面白いし売れるから、と一緒にNSC(吉本興業の養成所)へ誘いました。そうしたら、本当にちゃんと彼だけ売れました(笑)。
44歳の今もバイト生活。手取り13万円「不安はない」
――慶應卒で、一度も就職したことがない。「もったいない」と言われたこともあるのでは?
ピストジャム それは常々です! 「もったいない」は絶対言われます。バイトの履歴書には、一応学歴として「慶應義塾大学法学部政治学科卒業」と書くんですけど、その後の職歴は「なし」なので、基本信じてもらえない。「なんで慶應なのに、職歴ないの?」という微妙な雰囲気に……(笑)。
――20年以上ずっとバイト生活。途中、「このままでいいのだろうか」と悩んだり、不安に思ったりしたことは?
ピストジャム 正直全くないですね。最初は売れたい、バイトしながらでも頑張るぞ!という意気込みで、それ自体は今も変わらないんですけど、どこかで〈こういうふうに生活した方が生きやすいな〉と気づいたんですよ。
――こういうふうに生活、とは。
ピストジャム 例えば当時ひと月3万6780円、風呂なしの部屋に住んでいましたが、最低月収いくらあれば、この生活がキープできるという数字がわかってくる。僕の場合、それが「15万円」でした。
そこから年金や保険料、税金を払ったら、手元に13万円。家賃を引いて生活費は9万円ぐらいです。食費は4万円と設定したら1日1200円ぐらい使えるので、その範囲内で考える。残り5万円もあればタバコも吸えるし、服も買えます。人はどう思うかわかりませんが、自分にとって貧乏という意識は全然ないんです。