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ずっと息を止めて生きてきた

――売れていく同期や後輩に嫉妬を感じることは?

ピストジャム 2年後輩にハリセンボン、3年後輩にオリエンタルラジオがいて、どちらもデビュー後すぐにテレビで活躍。でも嫉妬はないですね。純粋にすげえ後輩やな、と。

――挫折も特に感じずに。

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ピストジャム うーん……僕は上がったことがないから、挫折もないんです。ずっと息を止めている状態というか。多分僕、「幸せ」の基準がものすごく低いんですよね。挫折や嫉妬は、苦しくなるとわかっているので、しない。無意識のうちに辛そうな生き方は回避しているのかもしれません。

――欲がないのでしょうか。

ピストジャム いや、欲はめちゃくちゃあります! お金は稼ぎたいし、テレビにも出たい。ただ根本的に、まわりの人に興味を持っていないんです。他の人は関係ないというスタンスです。

親が「完全に黙った」一言

――本のタイトルが『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』。今のピストジャムさんを見て、ご両親は何と?

©新潮社

ピストジャム 芸人宣言時は「気が触れた」という感じで、それ以降は腫れ物扱い。10年前に、突然東京に来た両親から、ホテルに呼び出されたことがありました。夕方から明け方まで部屋に軟禁、説得です。「今なら芸人辞めて、普通の人になれる」と。

――親は心配でたまらなかったわけですね。その時何と返したんですか?

ピストジャム 「辞めません」の一点張りです。12時間ぐらい延々押し問答の中で、母がふっと、「そんなにバイトして芸人つづけなあかんか」と。最終的に「何歳までやるか決めろ」と言われたので、「65歳まで」と答えたら、朝日が上るなか、両親どちらも完全に黙りました。 

©佐藤亘/文藝春秋

――本を出版した時は、喜んでくれたのでは。

ピストジャム 過去の僕の日記の写真を送ってくれて、それが活動を認めてくれたということだったらいいんですけどね。でも、10月末に手売り用で200冊、税抜23万円分を自腹で買ったんですけど、そのままだと印税と相殺されてしまう。だから今は、とにかくそれを売らなきゃいけないんです。

――200冊のうち、何冊売れましたか?

ピストジャム 10日間で133冊です。著者は2割引で買えるので、販売したら手数料が少し入る。だから今、自分の本を買うためにバイトをしまくっているという謎の生活になっています(笑)。
 

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。