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2023年の論点

都市部でも増える無人駅、“消えたドル箱”問題が迫る地方…人口減少社会がむかえる「鉄道が変わる日」

2023/01/06

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, ライフスタイル

 首都圏など大都市周辺で暮らしている人にとっては、「便利な駅」がすっかり当たり前のことになっているかもしれない。

 最寄りの駅に行けば必ず窓口があって、新幹線のきっぷも定期券もすぐに買える。乗り換えや運転見合わせなどで困ったことがあれば、そこにいる駅員に尋ねれば答えてくれる。そういうシステムがあるから、気軽に鉄道を使えているのだ。

 しかし、大都市から少し離れて地方に行けば、無人駅だらけだ。山間部を走り、ふだんからお客がほとんどいないようなローカル線ならともかく、東海道本線や山陽本線といった重要路線でも無人駅は少なくない。通勤通学時間帯には混み合うような駅も、地方の鉄道は無人駅ばかりなのである。

 さらに無人駅はこのところ毎年のように増えている。2000年代に入ってからだけでも約1割増えて、全体のおよそ半数が無人駅。7割以上の駅が無人駅、という地域も少なくない。

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無人駅が増えたナゾ

 いったいなぜ、無人駅は増えたのか。

 もちろんその理由はいくつもあって簡単に説明できるようなことではないが、大きな要因はふたつだ。ひとつは、単純に駅の利用者が減っていること。もうひとつは、駅員などの人員確保が少しずつ難しくなりつつあることだ。

 特に利用者の減少は著しい。1日1kmあたりの平均輸送量を示す、輸送密度という数字がある。4000人/日が、一般には鉄道の特性を発揮できるか否かの境界とされているが、この4000人/日未満の路線は1987年度の36%から2020年度には57%にまで増えている(JR6社のみ)。コロナ禍の影響もあるが、地方の人口減少を背景にローカル線はお客を大きく減らしてきたのだ。

 ただし、ローカル線を取り巻く状況は、無人駅がどうこうという段階をとうに過ぎている。近年では列車本数の減便も行われ、JR東日本やJR西日本は輸送密度2000人/日未満の路線・線区の赤字額を公表。路線を維持するか、それともバスなどに転換するか、沿線自治体等と協議する意向を示しており、少なくとも一定数のローカル線が近い将来廃止されていくことになるだろう。