「昔のリゾート地」別府にインターコンチネンタルが
さらにこの流れは日本の代表的な観光地である温泉地にもおよび、大分県別府市鉄輪(かんなわ)ではANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパが2019年の開業を目指して開発が進む。
別府温泉は、静岡県の熱海温泉と同様にどちらかというと日本人にとっては昔の観光地としてのイメージが強く、「名前は知っているけど、今さらね」といった感覚が正直ある「昔のリゾート地」だった。ところが、そんな地に世界を代表するホテル会社であるIHGの最高級ブランド「インターコンチネンタル」が冠されるホテルがオープンする。
日本の温泉は別府に限らず、箱根や熱海などでも見直される動きがある。また日本人の従来の固定概念では思いもつかないリゾートが世界から注目され、温泉を目当てに国内外から多くの観光客を再び招き寄せる起爆剤としてのリゾート開発が行われているのだ。
新たなゲームの始まりの予感
それでは不動産投資すごろくの最終到達点である「リゾート」にマネーが行きついているということは平成バブル時のように「ゲームの終わり」を意味するものなのだろうか。平成バブル時は、リゾートを利用する顧客はあくまでも日本人、しかもバブルで儲けた一部の富裕層を相手とした、国内企業によるリゾート開発だった。そのためにこの宴はバブル崩壊とともに消え去った。今回はどうだろうか。
現在発表されているリゾート開発計画で特徴的なのは、運営するホテルブランドの多くに外資系の看板が目立つことだ。
訪日外国人(インバウンド)の数は2017年で2800万人を超えた。世間ではインバウンドの数ばかりが話題になっているが、インバウンドの質が議論されることが少ない。
インバウンドの約8割以上がアジアからの顧客といわれるが、一口にアジア人といっても、経済水準の向上から日本にやってくるようになった中間層から、最近その数を急速に伸ばしている富裕層も対象となってきた。欧米から日本にやってくる顧客も最近になってようやくその増加速度が高まっている。
いっぽうで、日本には一泊で数十万円から百万円程度のお金を平気で使うような超富裕層がなかなかやってこないとも言われる。彼らに聞くと決まって返ってくる言葉が「日本には良いホテルがない。遊ぶところがない」というものだ。
欧米スタイルの滞在型リゾートの時代に
たしかに東京、大阪、京都といった都市には彼らが満足するようなホテルが建ち始めているが、地方の観光都市などには彼らが寛げるようなホテルやリゾートはほとんど存在しないのが現状だ。日本で欧米スタイルの本格的なリゾートの歴史はまだ浅く、滞在期間も1、2泊という前提のホテル旅館ばかりで、1週間も10日も滞在を楽しめるようなリゾートが存在してこなかったのだ。
今回のリゾート計画の数々はいずれも世界中のセレブリティを招く本格的なリゾートとなる予定だ。インバウンドのみならず日本人も今後は、時間に余裕を持った富裕層や働き方改革で自由な時間を持った働き世代を含めて本格的にリゾートを楽しむ時代になるのかもしれない。
そう考えれば案外に不動産投資すごろくも悪いものではない。リゾートの先にまた別のゴールが現れるのかもしれない。終わりのないすごろくで、もう少しサイコロを振り続けることとしよう。