カルト規制先進国では何が起こっているのか?
国も法務省による「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が電話相談窓口を設置するなど対応をとった。だがこれで2世に関する問題をカバーできたとは到底言えない。実務的な救済や支援の体制作りが求められているなか、2世の救済に繋がると言われているのがカルト規制先進国のフランスで2001年に施行された「反セクト法」だ。
危険性の判断基準の指標には以下の10項目がある。
・精神の不安定化を導く行為
・法外な金銭要求
・元の生活からの意図的な引き離し
・身体に対する危害
・子どもへの教えの強要
・反社会的な説教
・公共の秩序を乱す行為
・重大な訴訟問題
・通常の経済流通経路からの逸脱(高額な物品販売など)
・公権力への浸透の企て
フランスではこの指針に基づき政府が監視、有罪判決が複数回出された団体の解散を裁判所が命じることも可能となる。
頭ごなしに行政側が特定団体をセクト(カルト)認定するのではなく、個々の被害事例の積み重ねから対象団体に規制をかける方式であり、対象は宗教団体に限らない。
一方、日本では既成の法律を援用することで対処可能との意見も根強い。だが、ここまでカルト被害が拡大した背景を見ると団体自体を直接取り締まる法律があった方が摘発も容易であり、被害拡大の早期食い止めも可能だ。
反セクト法にはマインドコントロール罪と言われる「無知・脆弱性不法利用罪」という犯罪も創設されており、直接カルトの行う“悪行”を取り締まることができる。歴史的な背景は異なるもののカルト規制先進国に学ぶことは多く、より踏み込んだ法整備が求められるところだ。
SNSに溢れる2世受難の声が少なくなっていくことを望む。
◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』に掲載されています。