都会にいると、小学校受験や中学受験をするべきか迷う人は多い。いわゆる二極化の高所得側の山では、受験熱が過熱していると感じるが、親はどう判断すれば良いであろうか。結論を端的に言えば、唯一解はない。

 小学校受験組にも中学受験組にも成功者はいるし、知の最高峰とみなされる歴代日本人ノーベル賞受賞者28名中26名が公立高校出身という例が示す通り、高校受験組でも大人物は育っている。

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令和の今、私立小学校の現状を見てみると……?

 令和の現状はどうだろう。私立小は、校風や理念が明確にあり、概ね、心身ともにスクスクと育っている印象だ。「都会育ちのヤワなお坊ちゃん」をイメージする人もいるかもしれないが、今をときめくITの超大企業の某社長氏は、田舎町の海岸に住み、猟師で漁師でDIY生活。

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 破格のワイルドな郊外暮らしを実現している彼が、初等科からの青学育ちである一事例だけでも、先のイメージが偏見であることがわかるであろう。私自身、30年以上前、幼稚舎出身の慶応義塾中高生だけを集めた塾で働いていたのだが、皆素直で、部活に没頭し、中には花園などの全国大会に出場する生徒もいたし、長じた後も各界で大活躍し、家族も大切にする立派な社会人となっている。

 また、ミッション系スクール出身の人に、ある種の気品を感じることも多いし、国立大学の附属小学校は、概ねどの都道府県でも学力優秀校であることも、長く変わらぬ実状だ。片や中学受験は、変化している。

 6年後の東大合格者数=その中学の偏差値、のような価値観が長く続いていたが、広尾学園の成功あたりから、探究・研究力や、体験総量、海外進学など多様なカラーを打ち出す学校も増えてきた。ただし、部活を2年生で早々に辞めさせるなど、いまだ多くは「受験最適化」から抜け出せないようにも見える。