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親が見極めるべき“4つの落とし穴”

 ところで私は、12歳の春に日記を書き出してから、「人が幸せかどうか」をじっと眺め考え続けてきた。そして、不幸な人は、どうやら下記の4つの落とし穴にはまっていることが大半だなと見えてきた。

(1)「人目」:幼児期には誰もが、自分の興味関心に従って全ての瞬間を生きているのだが、就学前後から、外付けの評価軸や価値観を植え付けられていく。本当は消しゴムのカスを集めることに夢中なのに、「それはゴミだよ。捨てなさい」と言われる構図の洗脳が、学習や友達付き合いなど、あらゆる場面で行われる。その積み重ねの中で、「期待されること」「他人に評価されること」が、人生の基軸になり、「自分の心のワクワク」を正しく見つめることができず、「やりたいことが分からない人」になっていく。

(2)「比較」:複数の人が何かをやれば、必ず優劣がつく。比較してしまうのが人間だし、負けたらいっとき悔しがるくらいは当然だ。しかし、やがては「前の自分より伸びること」が大事だと気づき、「自分の持ち合わせた能力をフルに発揮して、満喫して生きていくことより外に道はない」と悟らねばならない。それなのに残念な人は「私はどうせ二流校ですから」「あの人みたいに才能ないので」などと、悪い比較の沼から抜けられない。

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(3)「コンプレックス」:「俺は頭が悪い」「私はモテない」「私は算数は苦手」といったコンプレックスを抱えて生きる大人は多い。いったんこびりついたそれは、ある日ある時身近にいた親や先生の言い放った一言とか、からかわれたこととかの、ワンエピソードが起点になっていることが多い。権威ある知力試験のようなもので証明されているのではなく、エピソードによって、心の中に強いこだわりとして形成される。

(4)「やらされ感」:例えば社員の新人研修で、課題を提示されたとして、意欲満々で聞く人もいる一方で、ハァと肩で息をつき、やらされ感で受けとる人もいる。小さい頃から「〇〇しなさい」の枠組みで生きてきて、自分で決めてやり切る遊び込みや生活経験が、少ないせいだろう。学業においても、仕事においても、成果を出せるのは「主体的」「意欲的」な方に決まっているので、やらされ感を根っこに持っている人は、生きづらくなる。

 受験は、テストに向けて勉強し、点数や偏差値で評価されるので、上記4項目に関し、大いに注意が必要だ。