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中山 うーん……。売れているという感覚はなかったですね。芸能界には、どうやっても辿り着けない永遠のスターがたくさんいて、その方々に比べたら私はまだまだだったので。ただ、いろいろなお仕事をさせていただいているな、とは感じていましたね。

ビートたけし、徳光和夫から学んだことは?

――デビュー当初はドラマやCMでお見かけする機会が多かったですが、次第にバラエティ番組への出演が増えていったように感じます。そこでは、いわゆる「大御所」と言われる方々とのお仕事も多かったのでは。

中山 そうですね。例えば、『たけしの万物創世紀』にレギュラー出演していたときは、タイトルどおりビートたけしさんとご一緒させていただいて。芸能界に入るずっと前からテレビで拝見していた大スターだったので、表面上は自然を装って「おはようございます」と挨拶していたけど、心の中では「あのビートたけしさんだ!」ってドキドキしていました(笑)。

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 そういえば、私が『たけしの万物創世紀』に出演していた時、ちょうどたけしさんがタップダンスにハマっていた時期なんですよ。

――映画『座頭市』でも披露していましたよね。

中山 私と共演していた時期は、まだたけしさんが仕事とは関係なく、趣味でタップダンスをしていた頃なんですけど……。休憩時間になると、よくスタジオの隅っこでタップダンスの練習をされていたんです。

 当時その姿を拝見して、グッとくるものがありましたね。大人になってからでも、すでに周りから評価されていても、常に新しいことに目を向けて挑戦し続けている姿勢そのものが魅力となって、多くの人の心に訴えかけるんだろうなって思いました。

 たけしさんをはじめ、大御所の方々とのお仕事は、学ぶことが本当に多かったです。大御所が大御所たる理由を見たというか。

――他にも、共演者から学んだことはありましたか?

中山 徳光和夫さんと司会業でご一緒したときは、人付き合いについて学ぶことが多かったですね。司会業の経験がほとんどなくて余裕がなかった頃、「エミリちゃん、一緒に行く?」と誘われて、共演者の楽屋挨拶に連れて行ってくださったんです。

 徳光さんほどの大御所の方が、ひと部屋ひと部屋回って丁寧に挨拶することにも驚きましたし、私を含め、共演者がリラックスできるようにいろいろと気を回されていることにも驚きました。ただ台本に書いてあることを忠実にこなすだけではなく、より良い番組をつくるために、ゲストが楽しめる雰囲気をつくるのが司会の仕事なんだと教わりましたね。

撮影=石川啓次/文藝春秋