中山 「カメリハするからバミリまで歩いてきて」とか業界用語を言われても、何を指示されているのか、何をしたらいいのか全然わからない。芸能界に入るまで、業界用語は「ギロッポンで、シースー」くらいしか知りませんでした(笑)。言われたことすらできないから、毎日のように怒られていました。
忙しいときは2〜3時間睡眠、マネージャーと自宅で…
――それでも、1990年代後半から2000年代にかけて、中山さんは毎日のようにいろいろな番組に出るようになっていきました。テレビなどメディア出演が特に多かった時期は、どのような日々を送っていたのでしょうか?
中山 忙しい時は、日中は学校に行って、学校が終わったら夜遅くまで撮影をしたりしていました。いったん家に帰ってシャワーを浴びて、2〜3時間仮眠をとったらまた学校か仕事に行く。当時のマネージャーは自宅に帰る余裕がないから、私の家で一緒に仮眠をとっていたこともあります。
休憩時間には台本を覚えたり次の仕事の準備をしたりしていたから、休む暇はほとんどなかったですね。当時はめまぐるしい日々を送っていました。
――かなりハードですね。
中山 もちろん毎日じゃないですよ。でも、仕事が重なった時はそういう期間が3ヶ月くらい続くこともありましたね。今はかなり改善されていると思いますけど、90年代の芸能界はまだ働き方に厳しくない業界でしたから……。当時は特に疑問に思っていなかったけど、今考えると無茶なスケジュールでしたね。
最近は子どもを寝かしつけている最中に一緒に寝落ちしちゃうくらいなので、今こなすのは絶対にムリです(笑)。
――学校から仕事に行くまでの移動なども大変だったのではないでしょうか。
中山 お仕事が忙しくなってからは、マネージャーさんが車で送り迎えをしてくれていました。でも、学校の往復やプライベートの移動は電車がメインでしたよ。今でもよく電車を使って移動しています。
――電車に乗ったら、さすがに気づかれるのでは?
中山 それが、今も昔も全然気づかれないんです。一番テレビに出させていただいていた時でも、電車の中で声をかけられることはほとんどなかった。
そういえば、高校生の時に電車に乗っていたら、近くにいた男子高校生の集団が「あそこにいるの、中山エミリじゃね?」ってこそこそと話していたことはありました。電車内の狭い空間で気づかれると困っちゃうなと思って聞き耳を立てていたら、1人の男の子が「でも、背が低すぎるから似ているだけだよ」と言って、みんなそれに納得しちゃったんですよね。その時は思わず「中山エミリ本人ですけど!」って伝えたくなりましたね(笑)。
――ちなみに、当時ご自身が「売れてきたな」という実感はあったのでしょうか?