メジャー5年目のエンゼルス大谷翔平が2022年、投手として15勝を挙げ、打者としても34本塁打を放ち、1918年のベーブ・ルース以来、104年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した。今や大谷は、MVP争いを演じたアーロン・ジャッジ(ヤンキース)と人気を二分する世界的なスーパースターとなった。

大谷翔平さん ©AFLO

 その大谷とエンゼルスが、公式戦終了直前の10月1日、日本人選手としては史上最高額となる年俸3000万ドル(約43億5000万円)の1年契約で合意した。23年オフにFA(フリーエージェント)となる大谷との間で、今オフに予定される年俸調停を回避するためだが、大谷の今後の去就が確定したわけではない。むしろ、早々と大谷の「商品価値」が定まったことで、今オフ、または来季中にトレードで移籍する可能性が高まったと指摘する声も聞かれる。

成績の低迷とは裏腹に…

 その裏に、エンゼルスが8月に発表した球団売却計画が関連していることは言うまでもない。03年、アルトゥーロ・モレノ氏がウォルト・ディズニー・カンパニーから買収して以来、ワールドシリーズからは02年以来20年間、ポストシーズンからも14年以来8年間遠ざかるなど、低迷から抜け出せない状況が続く。

ADVERTISEMENT

 その一方で、メジャー球団初のメキシコ系米国人オーナーのモレノ氏は、これまで米球界でも球団経営に積極的な経営者の1人と見られていた。就任後は、本拠地エンゼルスタジアムの入場料や球場内の飲食料金を値下げして集客増に成功するなど、独自の経営手腕を発揮してきた。

 ところが、22年5月、球場周辺の土地の買収とホテルなどを誘致する再開発計画が、買収に関わったアナハイム市長の不正汚職疑惑をキッカケに立ち消えとなり、風向きは変わった。モレノ氏への土地売却が無効となっただけでなく、3人の子供達も球団経営に興味を示していないと言われており、売却を決断したものと見られている。