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「もう中国に帰るつもりはありません」警察に1ヶ月拘禁されたことも…《21歳・青年活動家》が語った「思想弾圧のリアル」

2022/12/22

高2で食堂をボイコット「学食のメシがまずい」

 始まりはちょっとしたきっかけだったのかもしれない。それでも、自治という価値観に目覚めた彼は、高校2年生の時に学校内である行動を起こした。

「『学食のメシがまずい』、『食堂をボイコットしよう』と書いたポスターを、学校のあちこちに貼り、同級生たちに抗議を呼びかけたんです。結局、警察を呼ばれてしまい、取り調べを受けることになりました」

 中国の高校は寮制が一般的で、学生たちは学食で出される食事を一方的に受け入れるしかない。そんな状況に不満を抱いたのだという。

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 その後は、アメリカの政治学者ジーン・シャープによる『独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書』などの著作をネット上で読み、人権活動家の許志永(シュ・ジーヨン)にも面会して薫陶を受けた。どちらも、中国政府からは敵視されている存在だ。

 高校卒業後は文系名門の「中国政法大学」に進んだが、政治運動が理由で2年で退学を余儀なくされたと話す。退学後も、自分なりのやり方で政治運動を続けた。

「上海の北朝鮮料理店で働いている北朝鮮籍の女性店員の脱北を手伝おうと思い、行動しました。ただ、客として店に行って店員と雑談し、脱北したくないかと話を持ちかけたものの、そういう希望はないとのことでした。在中韓国大使館にも電話をかけて亡命の手助けを依頼したのですが、取り合ってもらえませんでした」

 来日直前には、こんな行動も起こしていた。

「今年1月に江蘇省徐州市で『鎖に繋がれた女性』が発見されましたが、中国国内の報道では事件の真相がはっきりしなかった。実際に現場を見に行こうと思い、ネット上で有志を10人ほど募って近くまで行ったのですが、レストランで食事をしている際に警察に乗り込まれ、全人代が終わるまで1ヶ月ほど拘束されました」

「鎖に繋がれた女性」は人身売買の疑いがあり、小屋のなかで首に鎖を繋がれた状態で発見された。中国社会の暗部を象徴するようなショッキングな出来事で、当局は人々の動揺や不満が高まることを警戒していた。