大谷翔平がベーブ・ルースを超えている理由
――2022年シーズンには、ベーブ・ルース以来104年ぶりとなる「2桁勝利、2桁本塁打」を成し遂げました。大谷翔平とベーブ・ルースの違いはどこにあると考えますか?
フレッチャー ベーブ・ルースは元々ピッチャーとして、ボストン・レッドソックスでプロ選手になりました。その後、バッターに適性があることに気づいた。そしたらベーブ・ルースは、投げること自体に興味を失ってしまったんです。だから結局、ピッチャーとしては4、5年くらいしか活躍していない。彼がヤンキースに移籍したら、ピッチングすることすら無くなってしまった。
一方で、大谷翔平は、もともと二刀流を志していて、本人がずっとやりたいと言っていた。そしてそれを実際にやり遂げている。それが2人の明らかな違いであり、大谷翔平がベーブルースを超えていると言われる理由です。
――ちなみに大谷選手のピッチングとバッティングは、どちらのほうが優れていると感じますか?
フレッチャー ピッチングのほうが優れていると思います。なぜなら彼は、ピッチャーとしてダメだった時期がほとんどない。ケガを除いて、不調が何試合、何か月と続いたことが1回もないんです。一方で、バッティングは不調が4~6週間続くことがあったんですよね。
とはいえ、ピッチングでもバッティングでも結果を出しているわけですから、彼は今後もニ刀流を続けるべきだと思います。
――アメリカでは、移籍前から「日本のベーブ・ルース」として注目されていたそうですね。
フレッチャー 移籍前からみんな興味津々でしたよ。もちろん日本でニ刀流を実現しているのは聞いていましたから。ただ、私も含めて、メジャーでもそれができるかどうかは半信半疑でした。
――そして移籍初年度から、メジャーでも二刀流ができることを示しました。
フレッチャー 2018年のスプリングトレーニングでは準備不足で、厳しい評価を受けることもありました。ただ、シーズンが始まったら一気にそれがひっくり返りましたね。開幕から2週間もしないうちにMVPの最有力候補になってしまいましたから。私も「この男は間違いない」と確信しました。
それにエンゼルスは、スプリングトレーニング中から大谷が絶対に二刀流を実現できると確信していました。なぜなら、チームの首脳陣は、日本ハムでの5年間の活躍をつぶさにチェックしていたんです。