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アメリカでは「もう二刀流は無理だ」と批判された時期も…

――ただ、2019年、2020年はケガに苦しんだシーズンでした。

フレッチャー その時期は、「もう二刀流は無理だ」「才能はあるけれどケガが多すぎる」と批判する人がたくさんいましたね。

 ただ、2020年に関しては特別な1年だったじゃないですか。コロナの影響でシーズン自体が短かったし、スプリングトレーニングできちんと練習もできず、準備不足だった。だから私は、大谷にもう一度だけ、二刀流ができるかどうかのチャンスを与えるべきだと考えていました。

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――大谷選手自身は焦りを感じているように見えましたか?

フレッチャー 彼は私たちにイライラを見せることはないんですよ。常に物静かな調子で話し、自分の目標を淡々と話すだけなので。

©文藝春秋

――2021年シーズンには見事復活を果たし、MVPを獲得しました。

フレッチャー 彼が健康的な身体を取り戻したのが、MVPを獲得できた一番の要因ですね。肘と膝に抱えていたケガの問題を解決できた。だから、十分にトレーニングできて、準備万端でシーズンに臨めた。

 加えて、それまでエンゼルスが大谷に休養を与え、制限を設けながらプレーさせていたのをやめて、彼のやりたいようにやらせる方針をとった。それが、2021年シーズンの結果に繋がったのだと思います。

――制限を取り払えたのは、ジョー・マドン監督就任の影響が大きかったですか。

フレッチャー いや、ジョー・マドンとペリー・ミナシアンGMの組み合わせになったのが大きかったと思います。なぜなら、ビリー・エップラーがGMだったときは、ジョー・マドンが監督でも制限を加えていたので。

大谷翔平はMLBでも唯一無二の存在で、世界最高の野球選手

――大谷選手を取材するなかで、彼のどのような部分を魅力だと感じますか?

フレッチャー 球場の中ですごく野球を楽しんでいることが彼の魅力ですし、私たちはそれに惹きつけられています。チームメイトとじゃれ合うだけでなく、対戦相手ともコミュニケーションを取っている。それが彼の人間性を表していると思います。

©文藝春秋

――対戦相手からも一目置かれる存在なんですね。

フレッチャー 彼が世界最高の野球選手で、MLBにおいても唯一無二の存在であることは、誰もが認めていますから。

――日本ではチームメイトのマイク・トラウト選手との“不仲説”が噂されたこともありました。実際の仲はどうなのでしょうか。

フレッチャー 仲良くしていますよ。2人でよく話をしているし、お互いに助け合ういい関係だと思います。それに2人とも、それぞれの力を合わせないとチームが勝てないことを理解しているはずです。