だがすでにトランプは有名人だったので、試写会では彼が「本人役」で姿を見せた時、客席から歓声が起こったらしい。
ただし当時の実業家トランプが絶好調だったかと言うと、むしろ苦境の真っ只中。事業の失敗が相次いだうえに、離婚も重なり、巨額の負債を少しでも減らすためにプラザ・ホテルも手放すことになったわけだ。
ちなみにドナルド・トランプが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985年~1990年)に登場する悪役ビフのモデルというのも有名な話。
『ホーム・アローン2』の彼の出演シーンに関しては、トランプが大統領に就任してから、特に彼の政策に不満を持つハリウッドの映画人たちから嫌悪の声が巻き起こった。カナダのテレビでは放送時に出演場面がカットされる事件も起こったり。ほんの一瞬の出番なのだが、これだけ物議を醸し続けているのは、さすがと言うべきか?
2、「よく死なないな」と呟きたくなるあの泥棒コンビは「伝説のオスカー俳優」が好演
『ホーム・アローン』第1作ではマカリスター家に忍び込み、ケビン君が仕掛ける罠にコテンパンにやられた泥棒コンビ、ハリー・ライムとマーヴ・マーチャント。
映画の最後では逮捕されちゃったふたりだが、『2』では刑務所を脱走して、偶然にも(!)ニューヨークの街にそろって再登場。だがまたしても因縁の敵、ケビン君に出くわして、前作以上に酷い目に遭うという展開である。
第1作のやられ方も相当だったが、『2』では家の中という密室ではなく、街の中という広い空間が舞台なため、よりハードでダイナミック。高所からの落下や頭部への打撃はもちろん、感電したり、頭が燃えて爆発したり、ハトに襲われたり……。
「よく死なないな」と呟きたくなるエグい爆笑シーンの連発。お笑い芸人も真っ青なほどカラダを張りまくっているハリー&マーヴだが、このマヌケなコンビを演じるのは本格派の名優なのだ。
小柄でニット帽をかぶったハリ-・ライム役は、1943年生まれのジョー・ペシ。イタリア系アメリカ人の彼は、巨匠マーティン・スコセッシ監督に愛され、強烈なギャング役を演じた1990年の『グッドフェローズ』ではアカデミー助演男優賞を受賞している。つまり「オスカー俳優」なのだ。
ちなみにスコセッシ組で共演作の多い、あのロバート・デ・ニーロとは親友。だが現在、俳優業は基本的にセミリタリアを宣言しており、映画業界であくせく働くつもりはもうないという。
そんなペシが2019年に、なんと9年ぶりに出演した映画が、やはりスコセッシ監督の『アイリッシュマン』だった(マフィアのボス役を演じた本作でもオスカーにノミネート)。