そして長身で天然キャラの相棒マーヴ・マーチャント役は、1957年生まれのダニエル・スターン。もともとは舞台俳優で、1979年に名作『ヤング・ゼネレーション』の大役で映画デビュー。その後もウディ・アレン監督の『スターダスト・メモリー』や『ハンナとその姉妹』などに出演し、繊細な演技で高い評価を受けてきた実力者だ。
すなわち、一見残虐な印象にも成りかねない本作の泥棒退治シーンを、確かな笑いに変換しているのは、このふたりの演技力の賜物なのである。
もちろん危険なアクションは主にスタントマンが演じている。ケビン役のマコーレー・カルキンのダブル(代役)も含め、現場では3名のスタントマンが活躍。彼らの仕事もまたスタント業界の伝説となり、「空中に飛んで背中から落下する」ことを業界用語で“ホーム・アローン”と呼んだりするらしい。
3、ギャラが45倍になった「天才子役」マコーレー・カルキンの“まぶしすぎた輝き”
ケビン君役の「カルキン坊や」ことマコーレー・カルキンは、1980年生まれで現在42歳。かつて天才子役と呼ばれた彼の出世作が、まさしく9歳(撮影時)で主演した『ホーム・アローン』なわけだが、その時のギャラは10万ドル。
それが11歳の時に撮影した『ホーム・アローン2』では、なんといきなり450万ドルに跳ね上がった。もちろん、それまでの子役の最高額として当時非常に騒がれたものである。
だが、あまりにも早くスターダムの頂点を極めてしまったせいか、そのあとの彼の人生はトラブルまみれ。いつしか「堕ちた元子役」の代名詞的な存在になってしまった。
もっともコアなロックファンからは、米国の人気オルタナティヴ・ロックバンド、ソニック・ユースの1998年の楽曲「サンデイ」のミュージックビデオ(監督は鬼才ハーモニー・コリン)に出演していたことなども、伝説として語られているのだが。
そんなカルキンだが、しかし絶頂期の輝きは本物だった。ちなみに『ホーム・アローン』と『ホーム・アローン2』に挟まれて、意外と見過ごされているのが1991年の主演作『マイ・ガール』だ。
これは多感な少年(カルキン)と少女(アンナ・クラムスキー)の“小さな恋のメロディ”を描く隠れた名作(と言っても、当時は大ヒットしたが)。未見の方々はぜひチェックしていただきたい!