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岸田首相は「拙速」ではなく「姑息」だった

 では一般紙での岸田首相について気になる記事を見てみよう。先週いろいろ読んだ中で注目した箇所があった。それは12月16日(金)の『防衛増税 拙速のツケ』(朝日新聞)の次の部分。

《首相は昨年10月の衆院選直後、関係が近い党幹部に伝えたという。「総裁選もないこの期間を使い、防衛費の財源を固めて増税の話をする。今しかない」 参院選も大勝し25年まで国政選挙をする必要がなくなった首相は、いとこで税調会長の宮沢氏と歩調を合わせ増税に向かい始めた。》

 この通りなら岸田首相は昨年秋から「防衛費と増税」については参院選後や国会閉会後のタイミングを狙っていたことになる。岸田首相は「ブレる」と言われるが(私も言ってきた)、今回はこの時期を前から狙っていたのか。だとしたらこの狙いに関してはブレていなかったことになる。

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 でも、防衛費増額が信念なら最初から堂々と言えばいい。岸田首相は夏の参院選までは静かにしていて、選挙後や国会を閉じた後に狙ったように言いだした。議論を避けた。正月が来たらみんな忘れると思っているのだろうか。今回の岸田首相の進め方は「拙速」とよく書かれるがこれは姑息と書いたほうがよい。

 さて、私がもうひとつ注目したいと思っているのは今回の防衛費増額について「日経、読売、朝日」が何を書いてきたかである。というのも政府の「防衛力強化を検討する政府の有識者会議」に日経、読売の幹部や朝日のOBが入っていたからだ。あらためて紙面を読み比べてみるのも必要では?