女優としてさらに輝くために、運転免許の取得を決めた吉田羊さん。彼女が免許を取得する中で、見たもの、食べたものを初のエッセイ本『ヒツジメシ』より一部抜粋してお届けします。(全3回の1回目/#2、#3を読む)
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吉田羊、免許を取る
女優としてずっと引っ掛かっていたことを目標に定め、この度クリアいたしました。それは、「運転免許を取る」。以前CMで「免許を持ってません」と公言していたのでご存じのお方もござりましょう。
都内で生活していれば、私鉄もJRもメトロも路線が蜘蛛の巣のように張り巡らされ、東京は元より近隣県へも直通で行けますし、車移動より時間が確実ですから、ことさら免許取得の必要性を感じていなかったのですが、ここ数年で生まれた思考チェンジは、やっぱりお芝居が理由でした。
わたくし、一見クールな見た目ゆえ、「仕事のできる上司」や「部下を束ねるリーダーキャラ」を演じることが多いのですが、見るからに運転しそうなキャラでありながら、免許がないために運転シーンをカットしたり、設定を変えたり、助手席に乗ったりというのがどうにも気持ち悪かった。
「お芝居の可能性を狭めているな」、「キャラクターの説得力をひとつ失っているな」、と演じるたびに気になっていて、よし、これはやはり免許を取ろう! と思い立ちました。