演じるだけでなく、食べることも大好きな女優・吉田羊さん。そんな彼女が実際に店に訪れて、その味を堪能した「4つの絶品スイーツ」とは? 吉田さん初のエッセイ本『ヒツジメシ』より一部抜粋してお届けします。(全3回の3回目/#1#2を読む)

ヒツジのコスプレ姿の吉田羊さん。彼女が勧める「絶品スイーツ」とは? ©講談社

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吉田羊が食べた「絶品スイーツ」

 近年、大ブームを起こした「フルーツサンド」。「萌え断」なる造語も生まれるほどの人気ぶりには無論、立役者がいるわけで。じわじわと来ていたプチブームを、タピオカのように確固たる「時代」にのし上げたのはやはり『ダイワ』さんや『フルーツアンドシーズン』さんでしょうか。

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 確かにカラフルでポップなビジュアルは老若男女の乙女心をくすぐりまくり。がしかし! 今回私がご紹介するのは、変わり種や裏路地営業といった、こぢんまり系のサンドたち。主役より脇役に心惹かれるのは、きっと小劇場からの叩き上げ魂だわね。おほほのほ。

 さっそく一軒目。今回のテーマを決めた時、絶対に行きたいと思っていたお店『MOCMO』さん。吉祥寺駅から歩いて10分、緑豊かな井の頭公園の目の前にあります。こちらに惹かれた理由は、グルテンフリーのパンを使っていること。食パンを使うお店が多い中で小麦粉不使用で勝負しておられる数少ないお店。

「いちじくの赤ワイン煮 ブルーチーズ&キャラメルナッツ」と「紫芋とハニーレモン」をチョイス。

MOCMOの「いちじくの赤ワイン煮 ブルーチーズ&キャラメルナッツ」と「紫芋とハニーレモン」 ©講談社

 前者のイチジクは、想像の20倍くらい美味しかった。噛むほどに味わい深く、ゆっくりと長く味わっていたくなる。そしてできればお供に、コクのあるお酒がほしくなる。ブルーチーズの入ったクリームのせいもあるのだろうな。イチジクの脇のキャラメルピーナッツが、キャラメルコーンを彷彿とさせ懐かしい。後者のレモンは、酸味が利いていい仕事。紫芋の甘みをほどよく抑え込み、後味スッキリ。

 お目当てのパンはというと、薄く焼いた、魚のすり身入りの玉子焼きみたいな食感。しっとりして軽い口当たり。しかし不思議なのは、コクとさっぱりを両立させたクリームたち。どういう工夫だろう? 謎。