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抗がん剤で本当に怖いのは、副作用ではなく専門医以外に処方されること

──どこが、そんなに「怖い」んですか?

勝俣 抗がん剤は副作用で亡くなることもある劇薬中の劇薬です。実際、抗がん剤には副作用がつきものですし、抗がん剤の副作用死亡率は、手術死亡率より高いというデータもあります。しかも、抗がん剤は150種類以上もあり、個々の症状やステージによって処方が異なるため、豊富な専門知識と経験を有した専門家でないと、適応判断から処方まで行うことはできません。

 極端なたとえで言うと、「手術をしたこともない内科医に外科手術を任せられますか?」ってことと同じなんです。ね、怖いでしょ?

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──「抗がん剤は副作用が怖い」というのはよく聞きますが……。

勝俣 確かに抗がん剤に副作用はつきものですが、抗がん剤で本当に怖いのは、副作用ではなく、専門医以外に処方されることですよ。

 抗がん剤は一般的に、ある程度の投与量がないと効果が出ないのですが、投与量を増やせばそれだけ副作用も増えます。でも安易に薬を減量してしまっては、効果も減ってしまう。つまり、加減が難しいのです。十分な効果が出て、副作用は少ないという「治療域」をきちんと判断し、副作用に対するマネジメントを行うためには、専門医の知識と経験が絶対に必要なんです。

入院で抗がん剤治療を行っている病院の割合は?

──抗がん剤治療を行うと、ゲーゲー吐いて仕事も何もできなくなる、というイメージも「誤解」ですか。

勝俣 それもイメージで、大きな誤解ですね。

 たしかに、10年前までは「抗がん剤を使うと、吐き気が強くて仕事も何もできない」という患者さんは多くいました。でも最近は、抗がん剤の吐き気を抑える有効な制吐剤が開発されたこともあり、「抗がん剤で吐く」患者さんは1割以下に減りました。当然ですが、これらの薬剤もむやみに使うのではなく、抗がん剤の吐き気の程度によって専門医が適切に処方することが必要です。

 最新の世界的ながん医療では、抗がん剤は通院治療が主流で、仕事や旅行など、普通の生活を送りながら治療を行うのが一般的なんですよ。……さて、ここでクイズです。入院で抗がん剤治療を行っている病院は、日本でどれくらいの割合でしょうか。