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「あれ?」が積み重なっていく宗教の教え

菊池 私は入信した自覚もないまま、もの心ついた頃には仏壇にお祈りをしていました。小学校一年生で願っていたのは、世界平和でした。創価学会の教えは「世のため人のため」なので、七夕の短冊に「おもちゃを買ってもらえますように」と書いた友だちを見て、なんて望みの低い子だろうと思ってたんです(笑)。「学会を知れば、私のようになれるのに」って。

 ところが当の学会の大人から、「真理ちゃんは世界平和を祈ってて、偉いわね」って言われたんですよ。その大人まで「何々を買えますように」と現世利益を求めていたので、「あれ?」と思ったんです。

信田 疑問を感じたあとは?

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菊池 「あれ?」が積み重なっていきました。学会の御本尊は「南無妙法蓮華経」と書かれた文字曼荼羅ですけど、「ただの紙なのに、どんな効力があるんですか」と訊いたら、大人はウッて詰まるんです。そのあと「お金と普通の紙は違いますよね。そういうことです」と説明を受けたんですが、納得できなくて。

母は信仰が唯一の居場所だった

信田 何か大きな出来事があって、信仰から離れたわけではないんですね。

菊池 決定的だったのは、母がずっと泣いていたことです。誰よりも熱心に信仰して、いつも祈ってるのに、全然幸せになってない。泣きながら「私は幸せです」と言ってるって、わけがわからなくて。最終的には母が自殺したことで、この宗教は救ってくれないと思いました。

 

信田 『「神様」のいる家で育ちました』の中で、「お母さんも心の底では信じてなかったんでしょう? なのにどうして泣きながらそこにいたの?」と書いていますね。

菊池 母は自分の信じる宗教に苦しめられている、と感じていました。

信田 やっぱり、信仰が唯一の居場所だったんでしょうね。

(撮影:鈴木七絵/文藝春秋)

●カウンセリング中に信田さんが菊池さんに受けた印象や、菊池さんが行っている宗教二世を集めたグループチャットでのエピソードなど、対談全文は『週刊文春WOMAN2023創刊4周年記念号』でご覧いただけます。

のぶたさよこ/ 1946年岐阜県生まれ。著書は『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)など多数。

 

きくちまりこ/ 1972年埼玉県生まれ。主な著書に『酔うと化け物になる父がつらい』、『依存症ってなんですか?』(共に秋田書店)など。

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