コロナ禍で、車を停めて籠もるだけの日々も
――車中泊されている方々が乗っている車のタイプはどんなものが目立ちますか。
井上 僕も乗っている軽ワゴンが多いですね。ハイエースやキャンピングカーなんていうのは、僕らからしたらハイソ。
まぁ、冷静に考えると大きな車って維持費がかかるじゃないですか。その人たちがどこからスタートしたかによりますけど。軽のほうが、なにかにつけて安価です。でも、実際問題やってみると、軽は軽で金はかかってるんですけどね。車の整備だけは怠れないです。
あと、ガソリンは年間で50万円くらい。それにオイル代とかタイヤ代とかいろんなことを考えると、100万円はいかないけど。それなりにね。
――2019年11月から車中泊生活をスタートしていますが、翌年1月から新型コロナで日本が大変なことになります。作中でも触れられていますが、県境通過車や東京ナンバーに対する偏見みたいなものは。
井上 行った先で、地元の方になにかを言われたとかはなかったですけど。僕の場合は、ちょろっと旅先の話を描くと「コロナなのに旅していいのか」と言ってくる人はいました。そうなると描けないのでどこにも行かないし、行ったとしても、ちょっと後ろめたい。それこそ、観光地なんてウェルカムなわけじゃないから楽しくない。しょうがないから、どこかに車を停めて籠もるだけ。そんなことはありましたね。
――車中泊生活だと、ワクチンはどこで打つことに?
井上 いまは本住所を田舎の滋賀県にしているんですよ。なので、接種の通知が来たら、2回目、3回目と、いちいち戻って打っています。
――親御さんは、車中泊生活を送られていることはご存知で? 乗っている軽ワゴンは、免許返納したお父様から譲り受けていますが。
井上 はっきりとは言ってないです。車を使って、いろいろ取材で回っているとは言っています。もともと僕って、鉄道系の漫画で駅弁の全国食べ歩きとかをしていたので。「じゃあ、家どうしてるんや?」と聞かれたので「友達の家を借りてるよ」と答えて。
実際、しばらく友達の家に物を置かせてもらっていて、そこを住所にもしてあったので。いまはコンテナを借りて、そこにいろいろ置いています。
写真=三宅史郎/文藝春秋
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