〈解説〉

 ソウル市内にある遁村(トゥンチョン)複合団地は、かつてアジア最大といわれたマンモス団地だ。一時期は6000世帯、3万人が暮らしていたが、老朽化で建て替えが決定し、住民の引っ越しや取り壊し工事が少しずつ進み始めた。敷地内には、250匹もの地域猫が、地域住民に見守られて暮らしている。

 猫を愛する女性有志たちは「遁村団地猫の幸せ移住計画クラブ」(略称「トゥンチョン猫の会」)を結成し、議論と試行錯誤を重ねながら、猫たちの捕獲&移住作戦を実行。その様子を2年半にわたり記録したこのドキュメンタリーには、個性豊かな猫たちの姿も活き活きと捉えられている。監督は2001年にペ・ドゥナ主演の長編映画『子猫をお願い』でデビューしたチョン・ジェウン。88分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★★☆実のところ、人間とのトラブルはありそうだが、それを忘れて猫たちの生態や個性を楽しんだ。撮影、大変だったろう。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆老朽化した巨大団地と猫の取り合わせが基調低音。静脈を流れる距離感と動脈を流れる親密さが有機的に交錯している。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆あの場所が生んだ気配が面白い。「人を責めて猫愛を語る者にはボランティアは務まらない」と語る世話好きも楽しい。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆労作。イスタンブールが舞台の『猫が教えてくれたこと』より共生の現状を深掘り。容赦なく変動する都市論の精度が際立つ。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★☆☆場所の喪失についてを淡々と映すカメラ。かつてアジア最大といわれたマンモス団地と地域猫。その距離感がとてもいい。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
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INFORMATION

『猫たちのアパートメント』(韓)
12月23日(金)より渋谷ユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
http://www.pan-dora.co.jp/catsapartment/