「シンガポールの口座を利用して海外投資してきましたが、米国市場の変調で資産が3割以上減りました。円安が進んだため、円換算すれば減っていないのは救いですが……」

 軽く億を超える資産を持つ、外資系金融機関出身の男性(60代)がこう明かす。

 日本では海外投資する人が急増しているが、この男性のように今はプロでも損失を出している。「米国を中心に海外のほうが成長する」と誰もが言うが、とりわけ投資初心者は安易に人気に乗った時が怖い。

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 だが物価上昇が始まり、岸田政権が「貯蓄から投資へ」を掲げる今、投資を検討すべき時期が来たことは確かなのだろう。初心者が投資できるものは何か、『週刊文春WOMAN2023創刊4周年記念号』より一部を紹介する。

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初心者には「銀行株」がおすすめ

「在職中、お客さんに投資信託を勧めて散々損をさせて来たので、投資信託は勧めません。勉強して株へ投資することを勧めます」 

10月24日には148円の円安を記録 ©時事通信社

 こう話すのは、50代後半のシングルマザーだ。大学卒業後、中堅証券会社に入社して営業職へ。30代で完全歩合の外務員となり、2008年のリーマンショック後に専業投資家になった。以来、日々の投資利益で生活して一人娘は東大に合格した。10年以上生き残っている専業投資家は決して多くない。 

 シングルマザーは初心者に、しばらく保有する株として「銀行株」を勧める。「投資として面白くはありませんが、低金利が続いて銀行は利益が出ないため、株価が低くなっています。しかし財務体質は良く、株価が大きく下がる可能性は低い。株価が低いため相対的に配当利回りが高く、年間で4~5%になります。今後、金利が上がれば銀行には追い風となり、株価が上がる可能性もある。銀行の将来性には疑問がありますが、まだ数年は大丈夫。メガバンクでは三井住友か三菱UFJ、地銀では中国銀行など上位優良行がいいでしょう」