被告「誰かは言えないが、そいつがどこかからロープを持ってきて被害者を縛った。その人間は私ではないが、ここでは言えない」
弁護人「元橋か、元橋の指示による若い衆か?」
被告「おそらく元橋の下の人間だと思います。元橋は命令はするが動く奴じゃない」
「自分、そのとき冷めていた。クスリ入れてきてたのが分かった」
被害者を縛りつけた後、店にいた元橋をはじめとする皆が食事に出たが、島田被告は「こんな状況の中みんなとわいわい食事に行く気にもなれなかった」と1人で店に残ったという。しばらくして戻ってきた元橋が舎弟に命じて被害者を再びフロアに連れて来させ「お前はこれからゲイバーだ、ケツ掘られるんだ」と言い放ち、他の者たちが小突き始めたと被告は言う。このとき、被告は元橋が覚醒剤を使用したことで様子が変わったと感じていた。
「自分、そのとき冷めていた。元橋がクスリ入れてきてたのが分かった。なので被害者のところに行って『静かにして騒ぐな』って言って、若い子らに『静かにさせろ』と言って、元橋をボックス席に呼んで話を始めたんですが、元橋はクスリ入れて戻ってきてたんで、勘繰りひどくて『やっぱり解放するわけにはいかない』とか『あいつは警察にタレこむ』とか言ってました。
あまりに勘繰りひどかったんで、元橋が若い子を住まわせてる部屋に、軟禁じゃないけど、見張りをさせて、そこに居させて様子を見ればどうかと言ったんですが、元橋は『お前は一生、これから奴隷や』と言って被害者に近寄り、被害者を小突き始めました。被害者が『勘弁してください、逃げませんので』と大きな声で言っていたので、それを聞いてまた元橋が興奮すると思い、自分が『静かにしてろって言っただろ』と言いながら被害者の口にガムテープを貼りました」
被害者の声に興奮してきたのか、元橋がまた暴力を振るい始めたことから、島田被告は「また始まった、と思い、被害者たちから背を向けてケータイをいじっていた」という。
「ネギトロ工場でミンチにしてくれないか」
肝心の殺害行為については、何度か振り返って確認したとき「元橋に命令されて、舎弟のCが被害者に馬乗りになって、何かしているのを見た。その後ろで元橋が、被害者の上に立っていた。見苦しいことをされていた……どの段階か思い出せないが、元橋は被害者の首も絞めつけていた」というが「元橋は止めると余計興奮するから、止めることをしなかった」とも述べた。
こうして最終的に、被告が関与していない間に元橋とその配下の者が、被害者を絶命させたと被告は語った。
「激しい行為が収まったあたりで、ションベンとかいう言葉が出てたんで、自分も被害者や元橋の方に行き、確認したら、被害者はもうピクリとも動かない状態になっていた。頭真っ白というか、びっくりした。その後、元橋とボックス席で話をしましたが、頭が真っ白で言葉が出なくて『洒落なんねえぞ、どうするんだ』とかしか言えなかった……」
するとその話の中で、元橋が「被告の親戚のネギトロ工場で被害者をミンチにしてくれないか」と言い出したのだという。
「それはできない」
と断るも、元橋は何度もこう頼んできたのだそうだ。
「会社の冷凍庫に預けられないか。1~2日のうちになんとかするから」(後編に続く)