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陰茎をライターであぶり、髪や眉を剃る

「やめてください」と懇願する伊藤さんに対し、その陰茎を島田被告がライターであぶり、次に頭からアルコールをかけ、元橋がそこに火をつけ頭部を炎上させた。次に、のたうち回る伊藤さんの頭部を元橋が踏みつけ、剃刀を持った島田被告が、陰茎付近にそれを当てたり、頭部に叩きつける形で髪や眉を剃っていった。さらにスプレーを陰茎付近に噴射させながらライターに着火し、炎を勢いよく当てた。

 暴行を受け続けるなか、許しを請う伊藤さんに対し、元橋は自慰行為を要求する。他の関係者らもいる店内で、自慰行為を始めた伊藤さんに対し、島田被告が「3分以内な」とカウントダウンを始める……。許しを請い続ける伊藤さんは、ペットボトルに指を入れ、自ら指を折ろうともした。

写真はイメージ ©iStock.com

 検察官の証拠説明によれば、動画には頭が炎上し「熱い熱い!」と叫ぶ伊藤さんの声や、店内にいた者たちの「おぉ~」という歓声、「ファイヤーファイヤー」と囃し立てる声なども記録されていた。島田被告だけでなく「Lapule」の経営者だった元橋も積極的に暴行を加えていたのは、疑惑の二つ目、客の金の窃盗について問い詰めていたためか。元橋も、すでに死んでいるため真意は不明だ。

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伊藤さんを殺害したのは別の人間と主張

島田一治被告の裁判員裁判の判決公判が開かれたさいたま地裁 ©高橋ユキ

 伊藤さんへの暴行は明け方まで断続的に続いた。島田被告は一旦、伊藤さんをトイレに縛りつけ睡眠薬を飲ませたのち、皆で伊藤さんをどうするかを話し合い、最終的に殺害することが決まったのだという。

 そして殺害後は「元橋が舎弟に命じてホームセンターで箱を買って来させ、遺体をその中に入れ、被告人が経営する冷凍マグロ肉等を取り扱う仲卸問屋が使用する市場内の超低温冷凍庫に搬入した。後日、被告人と元橋が、元橋の舎弟3人を呼び出し、遺体を取り出し、被告人の経営する会社に運び、マグロ肉を解体するための切断機で遺体を解体した。その後、被告人の親族が経営する別会社の冷凍庫に搬入。同年10月、被告人がさいたま市の焼却処分施設に遺体を持ち込み遺棄した」(検察側冒頭陳述)と、遺体なき殺人の詳細が明かされた。

 島田被告は暴行と、起訴されていない死体損壊・遺棄については認めている。だが、

「被告人が伊藤さんの首にロープを回し両手で絞めた。そのあと被告人は顔に体重を乗せて靴で踏みつけた。元橋は伊藤さんの身体を押さえ、念仏を唱えていた……」(検察側冒頭陳述)

 という殺害行為についてのみ「私はやっておりません」と否定していた。弁護人は冒頭陳述で「関係者らの、捜査段階と公判段階の供述は大きく異なる」と、島田被告以外の者らの口裏合わせをにおわせ、伊藤さんを殺害したのは別の人間であることを主張した。