「自分が可愛がっている若い子に対しても暴力を振るう」
被告人質問で島田被告は、バーに集まっていた人間らの素性、関係性について、まずこう説明した。
「元橋は、自分から見ればいいところもたくさんありましたが、とんでもないことをする非常識な面もある。自分が可愛がっている若い子に対しても暴力を振るう。薬物はもう、頻繁です。店についた時、若い男が3人いて、元橋の言ってることに従ってたりしたんで、それを見て自分は、3人が元橋の『若い衆』なんだと認識しました。その時もその後も、自分が見てる限りでは、3人が元橋の言うことを断っているところ、見たことないです。そのうちの1人であるCは、元橋と一緒に覚醒剤を使っていたりしました。営利販売も……。
元橋の交際相手については、その相手の自宅で一緒に生活していたと聞いていたので、私は2人が付き合っていると思っていたし、2人からも私はそう聞いていた」(島田被告の証言・以下同)
ほか、店にいた“元橋との共通の知人”については「事件の時に動画を撮っていて、それを見て自分も撮り始めた」、元橋の運転手については「正直あまり印象残ってない」という。
店に行ったのは「自分の記憶では元橋から電話で呼ばれた」からだそうだ。
被告「いわゆる遅い時間に『大事な用があるから来てくれ』と。自宅から店まで1時間くらいかかりました。そのとき元橋やその関係者、被害者がいて、なんか切羽詰まったような、わいわい言われてる状況でした。話の内容は、店の金に手をつけたとか、女の金を盗みとるとか……そこで自分呼ばれたんで、なんの話だと聞くと、初めてそこで娘のスマホの話が出ました」
弁護人「それまで被害者に手は出していた?」
被告「いや、出してないです。出す理由もないですし」
「カタギとかカタギじゃないとか、関係ねえだろ」
ところが被害者をトイレに連れて行き話を聞いている中で「頭に来て、強い口調で言ったら『自分もカタギじゃないんで』と向こうが言ってきて、抑えきれなくなりました。『カタギとかカタギじゃないとか、関係ねえだろ』という話をした。そこで初めて怒りを覚えて殴りました」という。
元橋の舎弟が止めに来て、フロアに戻ってから、被害者が他の関係者から問い詰められる中、被告は被害者の鼻血をおしぼりで拭きながら考えた。
「この話にどうフタするか。自分はもう、どうしても被害者から弁償させなくても、言い方悪いですが、元橋のところの従業員だから、元橋にケツ持たせて払わせればいいっていうアタマも腹もあった」
ところが関係者らの騒ぎは収まらない。当時被告は暴力団に所属しておらず、仕事が早朝から始まる予定だった。一旦店を出て会社の人間に連絡し、朝からの仕事内容を指示したのち、店に戻ると「被害者はもう、裸にされて立たされていた」という。
「元橋が被害者を蹴飛ばしたりしていた。そして、元橋の彼女が被害者に色々文句言っていた。『女をおもちゃにした』とか『体目的で女を騙して暴力を振るう』とか『お前は女の敵だ』とか、興奮した様子で……誰もそれを止めず、彼女の興奮している言葉を聞いて、自分の娘に当てはめて考え、自分も熱くなったっつーか、ボルテージ上がったというか、加わりました」
こうして動画に記録されているような暴力が始まったのだという。その後、被害者はトイレの便座に座らされ、ロープで縛られたと被告は言う。