千葉県船橋市で、松戸徹・船橋市長が推進する「メディカルタウン構想」。都市計画審議会で洪水の危険ありとされ、「安全性の検証をし、市民に丁寧な説明を重ねること」という異例の付帯意見が付いた。市は事業が洪水を起こさないか、水の動きのシミュレーションを外注したが……。

 思わぬ結果が出て慌てる市と、助け船を出した県、行政の陰に隠れて表に出ない地主たちと業務代行者の(株)フジタ、真実を知りたい市民たち。7カ月に及んだおかしなことだらけの洪水検証の様子をレポートする。

(全2回中の2回目/前編を読む)

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船橋市役所

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急遽決まった検証の“やり直し”

 5月13日、慌ただしい動きがあった。千葉県が「検証条件に県が実施する2つの大規模河川工事を入れてはどうか」と言って、検証のやり直しを指示してきたというのである。市はそれを了承し、同日に行われた市議会・建設委員会でその旨を報告した(議事録より)。

 4カ月かけて行ってきた検証結果を示さないうちに、別の条件を加えて検証をやり直すという異例の事態に、市民や一部議員たちからは不審の声が相次いだ。

「着工の条件になるのは造成工事による検証結果のはずです。それを発表しないうちに検証条件を変えるのはおかしい。発表できないことがあったのではないか」

「県の大規模河川工事を条件に入れたら、結果は良くなるに決まっている。事業は安全と言うためのトリックだ」

 さらに市は検証結果がないにもかかわらず、5月15日の公報で市民説明会を開くと告知した。説明会までの日数わずか6日。自治会にも連絡せず、参加したくてもできない市民が続出した。この市のやり方にも批判の声が相次いだ。