教員によるパワハラで、1年生の4割が中退するなど、退学者が相次いでいた千葉県木更津市の木更津看護学院を巡り、12月28日、同校の校長が記者会見した。重城利国学校長は、パワハラの事実を認めて、校長を辞職する意向を表明し、パワハラが認定された教員2人も退職するという。

 当初、千葉日報がスクープしたパワハラ疑惑を、学校側は否定し、千葉県にも「パワハラの事実はない」と説明していた。「週刊文春」は今年3月、問題の教員が生徒に対するパワハラ発言の音声を入手し、報じていた。弁護士らによる第三者委員会はパワハラの原因として、入学者の減少による教員のストレスの増加、以前より学力の低い生徒が入学している状況があると考えられるとしている。同校で起きていたパワハラとは、どのようなものだったのか。当時の記事を再公開する(初出:週刊文春 2022年3月31日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)。

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 教員によるパワハラで、1年生の4割が中退したと報道された千葉県木更津市の木更津看護学院。当初、学校側は県に「パワハラの事実はない」と説明していたが、教員が生徒に対して、パワハラ発言を繰り返していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。音声を入手した。

 木更津看護学院は、医師や看護師の指示で診療補助を行う准看護師を養成する二年制の学校だ。准看護師は近年、介護施設や老人ホームでの仕事など、需要が高まっている。

1940年に創立された木更津看護学院

 今年退学した生徒の一人が語る。

「パワハラが激しいのは、女性の50代後半のX教員と40代半ばのY教員です。2人は看護師の資格を持ち、生徒を見下している。入学後のホームルームで2人は『今年はどんなにバカでも、定員割れで全員受からせました。容赦なく(進級試験で)落としますから』と宣言。実際に、難癖をつけて提出物を受け取らなかったり、シーツ交換試験で小さなしわを探して不合格にするなどし、次々と生徒を留年にしていきました」

 この生徒はストレスで次第に体調が悪くなり、精神科病院で適応障害と診断されたという。

 別の元生徒も証言する。

「Y先生の口癖は『バーカ』。X先生には『あなたみたいにボケーっとした人に看護されたら(患者が)死ぬ』『資格もないくせに』と言われました」

右がX教員で左がY教員

 昨年卒業したAさんは2020年4月20日、消毒液すら無く、密状態で授業を行う学校のコロナ対策に不安を抱き、X氏に相談をした。

「病院で働きながら通学していたので、勤務先でクラスターを起こしたら大変だと思い、学校を休みたいと電話したのですが……」

 音声があるのはその時のものだ(音声は電子版で公開)。あまりにもX氏の言葉が酷いので、Aさんが電話の途中から、咄嗟に録音したものだ。X氏に「患者と学校どっちが大事か」と問われ、Aさんが「患者さん」と答えると、X氏はこう激高した。