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 まあ、私の感覚からすると、世の中が豊かになり過ぎた感はありますね。43年前くらいですか。当時、私の若いころなんか、テキヤの事務所にゴロゴロしていて、1杯の牛丼を仲間と分けて食べていた時代ですよ。何でもいいから仕事しないと食えない時代だった。いまの若い人は、取り敢えず食えるし、自分の理想的な生き方を求める時代。それがテキヤじゃないことは確かですね。だから、テキヤが直面している問題は、人的問題、なり手不足が第一です。

年々、商売も難しくなっている

 次の問題は、テキヤの商売ができる場所が少なくなっている。昔は、あるお寺は100本付けられたのが、今じゃ20本しか付けられないなんてザラですよ(本とは、三寸=露店の数)。これは、庭場のお寺さんのお達しだから、どうしようもない。あと、道路沿いの商売はもうダメというケースが多くなった。警察(機動隊や交通課)の指導に加えて、保健所も力が強くなっています。食品衛生法を盾に指導が入ったら、商売も難しくなる。

 キッチンカーは営業許可が取りやすいみたいです。彼らは料理の質で勝負している。不味いと売れないわけです。だから、企業努力を怠らない。日々、切磋琢磨するわけですよ。テキヤからキッチンカーに移行した者もいるけど、業界全体から見ると少ないと思います。キッチンカーやっている人は、基本チョウコウ(素人)ですね。初期費用が安いから、店舗を持てない人がやっているんじゃないかな。素人だから、保健所の許可も取りやすい。

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キッチンカー ©getty

 テキヤはショバがあればどうにかなると思っているが、それは昔の話。不味くても雰囲気で売れるとか、そういう時代ではないんです。売れてる同業者は、やはり企業努力をしています。

 ちなみに、観光地のキッチンカー、商売のスペースは、イベント企画会社が管理しているようです。この管理会社は、誰でも聞いたことのある人材派遣会社とかですね。

 いま、テキヤで管理しているニワにしても、うかうかしていたら、この管理会社が入ってくる可能性がある。彼らは、パソコンでテイタを割る(出店場所を割り振る)でしょう。寺としては、カスリ(使用料)さえ取れれば誰がやってもいい。しかし、テキヤは管理されるのが嫌。マトモに仕事したくない。ペナルティ制に馴染まないから、人材派遣会社が管理することはできないと思います。