あと、一部だけど、やはりテキヤの商売に入っている人は、前科がある人もいる。罰金以上の刑だと記載される犯罪人名簿を市区町村は保管しているんですよ。これは、出生地の自治体に電話で問い合わせないと分からなかった。現在は、データベース化されているから、簡単に調べられる。そうなると、道路使用許可も出にくくなるわけです。
昔は、警察も寛容だった。テキヤの事務所に四課の人間(暴力団対策課の刑事)がお茶飲みに来て雑談する。いろいろと街の情報収集をして帰っていったもんですが、今じゃ、そんな光景も見られなくなった。上の意向ですかね、警察とは溝が出来てしまいました。
だから、テキヤが直面している2つ目の問題は、世間のまなざしです。世の中の人たちは、テキヤを暴力団とは思っていないと思う。でも、当局はそういう目で見るから、段々と肩身が狭い思いをしないといけなくなっている。実際、テキヤでも銀行通帳が作れなくなっているんですよ。
必要なのは「テキヤのホワイト化」
私が考えるに、これからのテキヤは、真っ当な人しか入れないようにするべきでしょうね。そして、テキヤの組合や団体を「ホワイト化」してゆく必要があるでしょう。これは、官から言われてやるのではなく、テキヤ側が率先して取り組むべき課題と認識しています。
たとえば、最近、ある組織の親分が亡くなられた。私は、若者1人連れて電車でお悔やみに行きました。しかし、そこに車数台で、大人数でもって乗り込んでくる組織もいるわけですよ。普通の住居用マンションへそんなに大人数で押しかけるというようなことは、時代に相応しくない。こういう意識を変えていかなければ、テキヤは生き残れない。人から言われて変えるのではなく、生き残るためには、テキヤが自らの組織を省みて、主体的に変えていくホワイト化への努力が、求められていると思います。
あれだけのニワ(お寺)、先代から受け継いできたもの。無くしてはいけない。大事にして欲しい。だから、我々が現代社会にあわせ、変わる努力をしていく必要があるのです」(2022年5月3日に聴取)
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