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「どうして僕を慰めてくれるの」って思ってしまう

 時々友達に言われることがあります。

「こんなことになっちゃってごめんね。気分を害した?」

 それに対して僕はこんなふうに言うみたい。

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「一体何のこと?」

 本当に何のことかわからない。「どうして僕を慰めてくれるの」って思ってしまう。もうひとつ、みんなは慰めることと、悪い状況への対応を混同しているんじゃないかな。ただ感情的に反応して、やさしく抱きしめるようなことをすれば状況を改善できると考えてるのかも。僕にはよくわからない。感情的な反応が示されて、抱きしめられる。そんなことをしてもらっても、僕には何の助けにもならない。感情的に反応して、抱きしめられても、どうしたらいいかわからない。

リリック あらゆる感情を否定的にとらえている? それとも肯定的に見てる?

ジョリー 感情にほとんど振りまわされることがなくていいと思えることもあります。感情で傷つくようなことがあったら、僕の人生はひどいものになっちゃうと思う。悪口を言われたり、感情的に対立しあったりすることで、今までなかったおそろしい次元に至ってしまうと思う。僕はそんなことは何もせずに、ただ見てればいい。

 こんなふうに考えたことがある人はいないのかな。

「スーパーの食料品売り場で試食するように、あらゆる感情を試してみることができたら、いいんじゃないかな?」

 感情によってとてもいいことも起こるのは僕もわかっています。僕はそれをほかの人と同じように感じることはない。でも、ほかの人には悪いことも起こるけど、それを同じように経験しなくてすむ。

「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方

ジョリー・フレミング ,リリック・ウィニック ,上杉 隼人

文藝春秋

2023年1月25日 発売

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