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防衛省の「トレンドづくり」疑惑も

 ちなみに同社説では昨年12月の共同通信のスクープ『防衛省、世論工作の研究に着手 AI活用、SNSで誘導』(12月9日)にも言及していた。「防衛省が個人に直接働き掛けて世論を国策に束ねようとする動きが表面化した」というスクープだ。

 おさらいすると、

《インターネットで影響力がある「インフルエンサー」が、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭したりするネット空間でのトレンドづくりを目標としている。》(共同通信)

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 という記事であった。この報道について、

《今のところ、このスクープを報じたのは本紙など共同通信加盟の地方紙、ブロック紙が中心だ。正面から検証した全国メディアは見当たらない。政府の説明をうのみにして済ますのだろうか。》(信濃毎日新聞)

 全国紙さん、問われていますよ。

※浜田靖一防衛相は会見で「報道は事実誤認」「世論誘導が目的ではない」と否定したが、共同通信記者の質問には具体的な返答を避けた。研究が世論操作につながるかは「主観の問題」、ステマと「違っていない」とも言った。

有力メディアが国に「動員」された?

 地方紙から全国紙へはこんなツッコミもあった。

《昨年はほかにも、防衛とメディアを巡って歴史に刻むべき出来事がいくつかあった。11月に「専守防衛」の転換につながる提言をした政府の有識者会議に読売新聞グループ本社社長、日本経済新聞社顧問が名を連ねた。有力メディアが国に「動員」されていると国民に映らないか。国策と一体化した戦前と同じ轍を踏むことになりはしないか。》(信濃毎日新聞)

 有力メディアが国に動員! パワーワードである。同時にこれまた「新しい戦前」が浮かぶではないか。全国紙さん、問われていますよ。

 しばらく「新しい戦前」というキーワードを頭に入れて政治家だけでなく報道側を追ってみるのもいいかもしれない。