昨年は流行語大賞が発表された後に「ブラボー」(by長友佑都)が目立ちましたが、年末にも注目された言葉がありました。
「新しい戦前」(byタモリ)である。「徹子の部屋」(テレビ朝日系)で黒柳徹子さんから来年はどんな年になるかと問われ「誰も予想できないですね」「新しい戦前になるんじゃないですかね」とタモリさんが述べた。これがSNSで話題になったのだ。終戦直後(1945年8月22日)に生まれた人の言葉だから多くの人がハッとしたのだろう。
その数日後、元日の新聞を見ていたら驚いた。俳優の吉永小百合さんがインタビューで「時代戻らないか心配」と語っていたのである。つまりこれも「新しい戦前」を語っているではないか。※聞き手は共同通信編集委員なので共同通信が各紙に配信したのだろう。私は信濃毎日新聞で読んだ。
吉永さんは1945年3月13日、タモリさんと同じ年に生まれている。タモリさんが吉永さんへの憧れを常にトークしていたことは記憶に新しいが、そんなふたりが期せずして今を語る際に「戦前」を口にしている。この事実には注目せざるを得ない。
吉永小百合が語った“反戦への思い”
東京大空襲の3日後に生まれた吉永さんは、自分は幼すぎて戦争体験があるとは言えないので、戦争についてさまざまなことを学んで伝えていかなければならないという気持ちで俳優業をやってきたという。自身にとって師匠のような存在という作家の半藤一利の言葉「ずっと戦後であってほしい」「戦争だけは絶対に始めてはいけない」を紹介し、
《戦争は兵隊だけじゃなくて、一般の市民がたくさん犠牲になります。ロシアのウクライナ侵攻でも、それを改めて感じました。》
と語っている。さらに、