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「小学生の娘が待つ家にコンドームを買って帰り…」家族を引き裂いた義父の娘への性暴力と親子の再生

2023/01/14

genre : ニュース, 社会

 カメラに向かって10代前半と思しき少女が笑顔を浮かべる。少女の名前は美香(仮名)という。彼女のTシャツの裾を右手で掴んだ弟の光輝(仮名)が左手でつくった不格好なピースサインが初々しい。父親の晃(仮名)と母親の夏菜子(仮名)は、2人の子供をはさむように立って笑っている。 

 1枚の写真におさまった家族4人は、海に近いある地方の都市で幸せに暮らしていた。しかし今はもう、家族の笑顔が揃うことは叶わない。

家族4人で食卓を囲んだ幸せな日々

 2007年、27歳の晃と30歳の夏菜子は地元のクラブで知り合った。お互い音楽が好きで、特にヒップホップを好んで聞いた。年齢の差はあったものの、共通の趣味で盛り上がった2人が親しい仲になるのに時間はかからなかったという。結婚したのは2012年。夏菜子が前夫との間にもうけた一人娘の美香は、当時小学3年生になっていた。

 夫婦になった2人が新しい子供を授かるのに時間はかからなかった。娘の美香が11歳になった2014年、弟の光輝が生まれる。家族が増えたのを機に、一家は晃の実家にほど近い一軒家へと移り住むことになった。

インタビューに応じた夏菜子(仮名)

 実家の両親は晃を可愛がっていた。若い頃から家業を手伝ってくれる良き息子だと思っていた。しかし息子は一歩外に出れば、それなりの“ヤンチャ”として地元では知られた存在だった。両手が後ろに回るようなことこそないものの、上半身のかなりの部分に刺青が入っている。悪友たちからは“ヤンチャ”であると同時に“女たらし”としても一目置かれていたという。

 それでも親からすれば子供はかわいい。晃たち一家が新しく住み始めた家も、実家が用意したものだ。朝と晩、4人で食卓を囲むのが一家の約束事――ありふれた「幸せの形」は、夏菜子が強く望んだものだった。

 夏菜子の人生は必ずしも幸せなものではなかった。子供の頃には育ての親から虐待もあった。生家から逃げ出すようにしてつかまえた男との結婚も、うまくいかなかった。ところが今の生活はどうだ。可愛い2人の子供がいる。“ヤンチャ”で通っていたという夫はすっかり落ち着いてちゃんと仕事をしているし、子供たちを溺愛すらしている。夏菜子は幸福感に包まれていた。必ずしも裕福ではない生活を落ち着けるため、長男を出産したあとすぐにパート勤めをはじめた。夏菜子にとってこの幸せを手放すことなど考えられないことだった。