「謎の逆転現象」の正体は?
なぜ日本の若者は「自分が不幸」だと感じてしまうのでしょうか。
多少衰えたとはいえ、日本はアジアの中でも先進国であり、世界有数の経済大国です。国民皆保険があり、生活保護制度もある。治安はマレーシアよりずっと良いし、医療体制や公共交通機関も整っていて、物価も比較的安い。なのに日本の若者は、「自分は恵まれていない」「不幸に生まれた」と嘆き、「お金がないから子どもはとても産めません」と言うのです。
海外駐在員への調査でも、なぜか日本はマレーシアに比べて「住みにくい国」という結果が出ています。
CNBCが1万2000人の駐在員を対象に57都市を調査した2021年の「住みやすさランキング」。住みやすい都市の第1位は、マレーシアの首都クアラルンプールでした。85%の回答者が「概ね幸せに暮らしている」と答えています。マレーシアには不便なところもたくさんあります。しかし、将来への不安は日本人ほど強くなく、「自分の人生は、自分でコントロールできる」と感じている人の割合が多いです。
一方、東京は53位。最下位に近いです。
東京の方がクアラルンプールよりはるかに交通網が発達しており、環境が整っていて経済も発展しています。バブルの頃に比べれば物価も下がりました。それでも「住みにくい都市」だとしたら、「住みやすさの決定打」とはなんなのでしょうか。
「日本人は外国人に親切にしてくれるが…」
外国人が「住みにくい」と言う理由は、日本での「人間関係の難しさ」のようです。
この「住みやすさランキング」の調査でいちばん大きく差がついたのが「Get Settled(住み着きやすさ)」でした。1位のクアラルンプールに対し、東京は57位と最下位です。
あるアメリカ人は、「日本人は外国人に親切にしてくれるが、自分たちのコミュニティの一員として絶対に受け入れてくれない」と回答しています。これは田舎ではなく、東京の話です。
外国人は家もなかなか借りられないようです。私がマレーシア人や香港人を家に泊めると言うと、「大丈夫? ちゃんとした人なの?」と心配する人がいました。