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「おぢ」と売春して「地雷男子」に貢ぐ

 トー横キッズは似たような境遇の未成年が新宿東宝ビル横に集まり、路上でお酒を飲んだり、お菓子を食べたり……そんな集団だった。誰でも受け入れていたので一緒にいるうちに顔見知りになり、仲良くなる。男女比率はおおよそ3対7、圧倒的に女の子のほうが多かった。

「報道で未成年、未成年って書かれちゃったから警察が本気で動き出した。当時、集まっていたトー横キッズは家庭環境に問題がある子が比較的、多かった。誰がどう判断しても虐待って子とか、ネグレクトもあるし、親が再婚とか。家庭に大なり小なり問題があるって子が過半数でした。みんな家に帰りたくないから歌舞伎町に来て帰らない」

※写真はイメージです ©文藝春秋

 トー横キッズで健斗くんのように実家が近く、家庭に問題がない子どもは少ない。多くのトー横キッズは埼玉や北関東、また東北など、地方都市や地方から逃げてきていた。

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未成年トー横キッズたちの男女関係

「自分は実家通いで安定している環境だったので、常に一歩引いて見ていた。自分と似たような、環境が安定している男の子が来たとしても、ほとんどが1週間くらいで来なくなる。理由はトー横に来る必要がないから。すぐにつながりができるあの環境で、みんなでお酒飲んだりするのはすごく楽しい。誰でも友達ができるし、知り合いもたくさん広がる。でも長期的に留まる人はいない。冷静に考えると、行き場所がない未成年の集まりなのでまともな世界ではなかった」

※写真はイメージです ©文藝春秋

 何がまともじゃないの? と訊ねる。

「トー横にいる女の子たちは、売春でお金をつくって地雷男子とか男に貢ぐ」

 健斗くんは、そう言う。

「地雷男子」とはTikTokなどに出没する中性的な男の子たちのことだ。若者と未成年の集まりであるトー横キッズのなかで、地雷男子は女の子たちから人気を集めていた。トー横キッズの未成年のなかでも「貢ぎ」は常態化していたようだ。女子比率が圧倒的に高いトー横キッズで、女の子たちはこぞって当たり前のように売春してお金をつくる。そして、そのお金は同じ境遇の地雷男子に流れていく。それが未成年のトー横キッズたちの男女関係の普通の形だったようだ。