文春オンライン

“132キロの石”を素手で持ち上げる青年が語った「日本人が弱体化した理由」

令和の怪力男・そばつぶとは何者か #2

note

「my力石」はジモティー、川でゲット

そばつぶ 初めはジモティー(地域密着型の掲示板サイト)の「庭石を譲ります」という書き込みに応募しました。ただ、庭石ってゴツゴツしていますよね。なめらかで丸い石のほうが身体も傷つけないし、ひっかかりが少なく持ちにくいのでトレーニング向きなんです。

 神社などにある多くの力石の見た目が丸みを帯びているのも、そういった理由で先人が川や山から選別して来たと言われています。だから、自分も先人と同じ様にちょうど良い石を川で拾ってきました。もちろん川の管理者には持ち帰る許可を得ています。

苦労して拾い集めたそばつぶさんの「my力石」。描かれている数字は石の重量(写真:そばつぶさんのInstagramより)

――全てが自然派というか、なんというか……。

ADVERTISEMENT

そばつぶ はい(笑)。力石が流行していた江戸時代の人は、身ひとつで勝負していましたからね。パワーベルトなどの力を補助してくれる道具を使わずになるべく当時と同じ条件下で、昔の力持ちたちと時代を超えて対戦できたらという気持ちがあります。

――普通の筋トレではなく力石をやるようになってから、筋肉のつき方は変わりましたか?

そばつぶ 正直、身体の見た目を良くしたいならトレーニングジム等で普通の筋トレをやったほうがいいとは思います。でも身体の使い方や体幹を鍛えるのであれば石のほうが断然優れています。ダンベルを持っていた頃に比べて、ずっと動きが良くなりました。

力石にはパズル的な楽しみもある

――力石とは、「石を肩に担げたらOK」というルールなんですか?

そばつぶ 肩に担ぐのは“石担ぎ”といって、力石における代表的な種目です。ほかには腕を伸ばして石を頭上に掲げる“差し上げ”や、地面から一瞬でも浮かせることを目指す“地切り”などあります。

 石を運ぶ距離を競う“石運び”というのもあるのですが、先人の中には石を担いだまま町内を1周する、なんて逸話も……。石の重さや自分の実力と相談しながら、石を持ち上げる高さを判断します。

石担ぎ(写真:そばつぶさんのTwitterより)

――石を担ぐときのコツはありますか?

そばつぶ まずはしっかり石の形を見極めることですね。何度も石の向きを変えながら、掴みやすいところと掴みにくいところを把握し、“持ち手”になってくれそうな場所を探します。

 持ち手を見つけてからも大変です。そこから肩に持ってくるまでに、細かく角度や手の組み方を調整しないといけません。軽い石だったらポンと持ち上げられますが、重い石ほど頭を使う必要があります。力石にはパズル的な楽しみもあるんです。

――好きな石の形、苦手な石の形はありますか?